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「最近、急に汗が止まらなくなった」「理由もなくイライラしてしまう」「夜中に何度も目が覚める」――。40代後半から50代にかけて、こうした不調を感じる方は少なくありません。これらは更年期障害の代表的なサインです。
更年期は誰にでも訪れる体の変化です。しかし、その症状の重さや現れ方は人それぞれ違います。つらいときに「年齢のせいだから」と我慢してしまう方も多いのですが、実は今は、複数の選択肢から自分に合った対策を選べる時代です。
この記事では、更年期障害への向き合い方を5つの軸に分けて、ていねいに解説していきます。生活習慣の見直し、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、抗うつ薬、カウンセリング――。それぞれの特徴と、自分に合うかどうかの見極め方をお伝えします。
専門医の声や、日本産婦人科学会・厚生労働省の公式資料も参考にしながら、中学生でもわかる言葉でまとめました。読み終えるころには、「次の一歩」がきっと見えてくるはずです。
更年期は、長い人生の中の通過点です。乗り越えるためのヒントを、この記事でぜひ見つけてください。一人で抱え込まず、利用できるサポートをためらわずに使うことが、何より大切です。
💡 ここがポイント
更年期障害は「我慢するもの」ではありません。生活習慣・HRT・漢方・抗うつ薬・カウンセリングの5つの選択肢を、症状や体質に合わせて組み合わせていく時代です。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、自分にとって最適なバランスを見つけていきましょう。
📋 目次
- 🌸 第1章 更年期障害とは何か(基礎・症状・年齢)
- 🔬 第2章 なぜ起きるのか(女性ホルモンの変化)
- 🥗 第3章 【対策①】生活習慣の見直し
- 💊 第4章 【対策②】ホルモン補充療法(HRT)
- 🌿 第5章 【対策③】漢方薬
- 💙 第6章 【対策④】抗うつ薬(SSRI/SNRI)
- 🤝 第7章 【対策⑤】カウンセリング・心理療法
- ♂️ 第8章 男性更年期(LOH症候群)も軽く触れる
- 🤔 第9章 自分に合う対策の選び方
- 💡 まとめ
🌸 第1章 更年期障害とは何か
1-1 更年期と更年期障害の違い
「更年期」と「更年期障害」は、似ているようで実は違う言葉です。混同されがちなので、まず最初に整理しておきましょう。
更年期とは、閉経をはさんだ前後10年ほどの期間を指します。日本人女性の閉経年齢は平均で約50歳ですから、おおよそ45歳から55歳ごろが更年期にあたる方が多いとされています。
この期間に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減ります。その変化に体や心がついていけず、日常生活に支障が出るほどのつらい症状が出る状態を「更年期障害」と呼びます。
つまり、更年期は誰にでも訪れる「期間」のことです。一方、更年期障害は「症状によって生活に困っている状態」を指します。すべての女性が更年期障害になるわけではありません。
また、閉経の年齢には大きな個人差があります。早い方では40代前半、遅い方では50代後半に閉経することもあります。40歳未満で閉経した場合は「早発閉経」と呼ばれ、別の対応が必要になります。
「閉経」とは、月経が完全に来なくなった状態です。医学的には、最後の月経から12ヶ月以上月経がない場合に「閉経した」と診断されます。閉経の時期は卵巣の働きが完全に止まることを意味するため、ホルモンの変動も大きくなりやすい時期です。
1-2 主な症状一覧
更年期障害の症状は非常に多彩です。一説には200種類以上あるともいわれるほどです。大きく3つのグループに分けて整理してみましょう。
| 症状の種類 |
代表的な症状 |
起こる場所 |
| 血管に関する症状 |
ほてり・のぼせ・大量の汗・冷え |
顔・上半身 |
| 体の症状 |
肩こり・関節痛・疲れやすさ・めまい |
全身 |
| 心の症状 |
イライラ・不安・落ち込み・不眠 |
気分・睡眠 |
| その他 |
月経異常・腟の乾き・頻尿 |
婦人科系 |
特に多い症状はホットフラッシュ(急なほてりや汗)です。電車の中や会議中に突然始まるため、外出が怖くなる方もいます。汗が大量に出るため、夏でも下着の替えを持ち歩く方も少なくありません。
症状の重さには大きな個人差があります。ほとんど不調を感じない方もいれば、寝込んでしまうほどつらい方もいます。日本人女性の場合、ホットフラッシュなどの血管症状よりも、肩こりや疲労感などの身体症状を訴える方が多いと言われています。
また、最近わかってきたのが「ブレインフォグ」と呼ばれる症状です。頭にもやがかかったように物事を考えられない、言葉がすぐに出てこない、集中力が続かないといった状態を指します。これも更年期に起こりやすい症状の一つです。
関節痛も意外と多い症状です。指のこわばりや膝の痛みが急に出てきたとき、リウマチを疑って整形外科を受診する方もいますが、実は更年期によるものだったというケースが少なくありません。エストロゲンには関節を守る働きもあるため、減少すると関節の痛みやこわばりが現れやすくなるのです。
皮膚の変化も見逃せません。肌の乾燥・かゆみ・しわの増加・髪のパサつき・抜け毛などが急に気になり始めたら、更年期のサインかもしれません。エストロゲンは肌や髪のうるおいを保つ働きもあるためです。
泌尿器の症状もよくみられます。急にトイレが近くなる、夜中に何度も起きる、尿もれが起きる、腟の乾きを感じるといった症状です。最近では「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)」という言葉で、これらの症状をまとめて呼ぶようになっています。
1-3 セルフチェック
自分の状態を客観的に見るために、まずはチェックリストを試してみましょう。代表的な指標として、日本では「簡略更年期指数(SMI)」というものが広く使われています。
✅ 更年期セルフチェック(3つ以上当てはまったら要注意)
- 急に顔がほてる、汗が出ることがある
- 夜中に何度も目が覚めて熟睡できない
- 理由もなくイライラする、涙が出る
- 肩こりや関節の痛みがひどくなった
- 月経の周期や量が以前と変わった
- 疲れが取れにくく、やる気が出ない
- 動悸や息切れを感じることがある
- めまいや立ちくらみが増えた
- 物忘れや集中力低下を感じる
- 腟の乾きや頻尿が気になる
厚生労働省(2022年)「更年期症状・障害に関する意識調査」によれば、女性の約60.3%が誰にも相談したことがないと報告されています。また女性の40〜49歳では81.7%、50〜59歳では78.9%が医療機関を受診していないとされています。一人で抱え込まず、気軽に医療機関へ相談する姿勢が大切です。
ちなみに、更年期障害の症状は「他の病気」が隠れていることもあります。例えば、ほてりや動悸は甲状腺の病気でも起こりますし、疲労感や落ち込みはうつ病が原因のこともあります。婦人科を受診すると、必要に応じて他の診療科とも連携しながら原因を見極めてもらえます。
「忙しいから」「恥ずかしいから」と受診を先延ばしにする方も多いのですが、医師に相談するだけで気持ちが軽くなることも珍しくありません。「今の自分の状態を知る」という意味でも、一度受診してみることをおすすめします。
🔬 第2章 なぜ起きるのか
2-1 ホルモン変動のメカニズム
更年期障害の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。なぜ急に減ってしまうのか、体の中で何が起きているのかを見ていきましょう。
エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンで、女性らしい体つきや月経の周期、骨や血管の健康など、体のあらゆる働きに関わっています。20代から30代がもっとも分泌量の多い時期です。
40代に入ると卵巣の働きが少しずつ衰え始めます。卵巣の中にある「卵胞」と呼ばれる卵子のもとが、年齢とともに減少していくためです。生まれたときには約200万個あった卵胞が、閉経のころにはほぼゼロになります。
50歳前後で閉経を迎えると、エストロゲンの分泌量はピーク時の10分の1以下にまで落ち込みます。この急激な変化が、心身にさまざまな影響を及ぼすのです。
「ホルモンの変化と共に生きていく私たちが知っておくといいことは、体を動かすこと、しっかり休むこと、前向きな考え方を持つこと、食べるものを選ぶこと、そして人と良い関係性を築くことです」
体の中では、脳の視床下部という場所が「もっとエストロゲンを出して」と卵巣に指令を送り続けます。しかし卵巣は応えられません。この指令と反応のミスマッチが脳にストレスを与え、自律神経のバランスを乱します。
視床下部は、自律神経の中枢でもあります。つまり、ホルモン調節と自律神経調節が同じ場所で行われているため、ホルモンが乱れると自律神経も乱れやすくなるのです。これが更年期障害の根本的な仕組みです。
2-2 心と体に起きる連鎖
自律神経は、体温調節・心拍・血圧・消化など、無意識のうちに体を整えてくれる神経です。これが乱れると、ほてり・冷え・動悸・めまいといった症状が現れます。
特にホットフラッシュは、自律神経の温度調節機能が暴走することで起きます。本来なら徐々に汗をかいて体温を下げるところを、急激に血管を広げて大量の汗をかいてしまうのです。
同時に、エストロゲンには気分を安定させる働きもあります。減少すると、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の働きも落ち、不安や落ち込みが起きやすくなります。
つまり更年期障害は、「ホルモンの急変→自律神経の乱れ→心と体の症状」という連鎖反応で起きているのです。気のせいでも、性格の問題でもありません。
さらに、エストロゲンには次のようなさまざまな働きがあります。
- 骨を丈夫に保つ働き――減ると骨粗しょう症になりやすくなります
- 血管をしなやかに保つ働き――減ると動脈硬化が進みやすくなります
- 悪玉コレステロールを下げる働き――減ると脂質異常症が起きやすくなります
- 肌や粘膜を潤す働き――減ると乾燥肌や腟の乾きが起こります
- 記憶力や認知機能を保つ働き――減るとブレインフォグが起こります
このように、エストロゲンは女性の体を全方位で守ってくれていたホルモンなのです。減少することで、いままで気にもしていなかった部分に不調が現れるのは、ある意味で自然なことだと言えます。
💡 ここがポイント
更年期の不調は、女性ホルモンの急減が引き起こす「体の中の変化」です。自分を責める必要はまったくありません。仕組みを知ることが、最初の一歩になります。「自分が弱いから」「気持ちが甘いから」ではなく、ホルモンの変化が原因なのです。
また、心理的・社会的な要因も症状を左右します。子どもの自立、親の介護、職場での責任の増大、夫婦関係の変化――。40代から50代は、人生の節目が重なる時期でもあります。これらのストレスが、更年期症状をさらに重くすることがあります。
逆に言えば、ストレスへの対処法を身につけることで、症状を和らげることもできます。次の章からは、具体的な5つの対策について詳しく見ていきましょう。
知っておきたいのは、更年期障害の症状は「波がある」ということです。今日はとてもつらくても、明日は楽になることもあります。また、季節や天候、気圧の変化でも症状が変動します。「今がつらいピーク」と思っても、必ず楽になる日が来ると信じて、無理せず過ごしましょう。
また、更年期症状は「閉経のサイン」とも言えます。閉経後は症状の多くが落ち着いていきます。今がつらくても、それは体が次のステージへ移行している証拠です。前向きに捉え直す視点も、心を楽にしてくれるかもしれません。
🥗 第3章 【対策①】生活習慣の見直し
更年期障害への対策で、まず誰もが取り組めるのが生活習慣の見直しです。お金もかからず、副作用もありません。症状が軽い方なら、これだけで楽になることもあります。
「薬を飲む前に、まず生活を整える」――これは多くの専門医が推奨する基本の考え方です。HRTや漢方を使う場合でも、生活習慣がベースとして大切です。
3-1 食事
食事で大切なのは、栄養バランスを整えることと、女性ホルモンに似た働きをする成分を取り入れることです。
特に注目されているのが、大豆に含まれる「大豆イソフラボン」と、その代謝物である「エクオール」です。エクオールは女性ホルモンに似た働きをするため、ホットフラッシュや骨密度の維持に役立つと報告されています。
大塚製薬の情報によると、エクオールを1日10mg摂取することで、ホットフラッシュ・首肩こり・骨密度・脂質代謝などに良い影響が期待できます。
ただし、大豆イソフラボンからエクオールを作れるのは、日本人の約2人に1人と言われています。腸内細菌の働きが関係しているため、エクオールを作れない体質の方は、サプリメントで直接補う方法もあります。
1
大豆製品を1日2〜3回
納豆・豆腐・豆乳・味噌汁などを少量ずつ複数回に分けて食べます。一度にたくさん摂るより吸収効率が良くなります。1日の目安は大豆イソフラボンとして50mg程度です。
2
カルシウムとビタミンDを意識
エストロゲン減少で骨密度が下がりやすくなります。乳製品・小魚・きのこ類・魚を積極的に取り入れましょう。1日のカルシウム目安は650mg、ビタミンDは8.5μgです。
3
良質なたんぱく質を毎食
筋肉量を維持するため、肉・魚・卵・大豆製品をバランスよく。基礎代謝の維持にもつながります。1食あたり、手のひら1枚分が目安です。
4
ビタミンB群とビタミンEを補う
ビタミンB群は神経の働きを助け、疲労回復に役立ちます。ビタミンEは血行を良くし、自律神経を整える効果が期待できます。豚肉・玄米・ナッツ類・かぼちゃなどを意識して取り入れましょう。
反対に控えたいのは、カフェインの過剰摂取・アルコール・刺激物・糖質の摂りすぎです。これらはホットフラッシュや睡眠の質を悪化させることが知られています。
朝食を抜く、食事の時間が不規則、外食が多いといった習慣も、自律神経を乱す原因になります。完璧を目指す必要はありませんが、「1日3食、なるべく決まった時間に」を意識してみましょう。
腸内環境を整えることも、エクオール産生菌の働きを活発にするうえで大切です。発酵食品(ヨーグルト・キムチ・ぬか漬けなど)と食物繊維(野菜・海藻・きのこ類)を毎日摂る習慣をつけましょう。
3-2 運動
運動には、自律神経を整える・骨密度を保つ・気分を明るくする・ぐっすり眠れるなど、いいことだらけです。
おすすめは、有酸素運動と筋トレの組み合わせです。ウォーキング・水泳・ヨガ・軽いジョギングを週3〜5回、1回30分程度から始めましょう。「30分」と聞くと長く感じるかもしれませんが、10分を3回に分けても効果があると言われています。
特にヨガは、深い呼吸とゆっくりした動きで自律神経を整える効果が高いとされています。ホットヨガなら発汗作用で代謝アップも期待できます。最近は更年期向けのヨガクラスを開催しているスタジオもあります。
筋トレの目的は、筋肉量の維持です。年齢とともに筋肉は減少しますが、エストロゲンの減少も筋肉量の低下に拍車をかけます。週2回ほど、スクワット・腕立て伏せ・腹筋など、自重を使った簡単な運動でも十分です。
運動が苦手な方は、まず「歩く時間を増やす」ことから始めてみてください。一駅手前で降りて歩く、エレベーターではなく階段を使う――こうした小さな積み重ねでも、確実に変化が現れます。
✅ 更年期におすすめの運動
- ウォーキング――1日30分、週5日が目安
- ヨガ・ピラティス――自律神経を整え、柔軟性も向上
- 水中ウォーキング・スイミング――関節に優しく、全身運動
- 軽い筋トレ――骨と筋肉を守る
- ストレッチ――1日5〜10分でも効果あり
3-3 睡眠
更年期は不眠に悩む方が非常に多い時期です。睡眠の質を保つために、次の習慣を意識しましょう。
✅ 睡眠の質を上げる7つの習慣
- 就寝1時間前にぬるめ(38〜40度)のお風呂に入る
- 寝る前のスマホ・パソコンは避ける
- 寝室の温度は18〜22度、湿度は50〜60%に保つ
- 朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
- 夕方以降のカフェインは控える
- 寝室はできるだけ暗くする
- 就寝・起床時間を毎日同じにする
更年期特有の睡眠の悩みとして、「寝つきは悪くないのに、夜中に何度も目が覚める」というケースがあります。これはホットフラッシュによる発汗が原因のことが多いため、吸湿性の高い寝具やパジャマを選ぶ、寝室の温度を低めに設定するといった工夫で軽減できることがあります。
どうしても眠れない日が続くときは、無理に眠ろうとせず、いったんベッドから出てリラックスする時間を作るのも一つの方法です。「眠らなければ」というプレッシャー自体が、かえって眠れなくする原因になります。
2週間以上不眠が続く場合は、医療機関に相談しましょう。更年期外来や睡眠外来で、原因に合わせた治療を受けられます。
3-4 ストレス管理
更年期はキャリア・家族・親の介護など、人生のさまざまな変化が重なる時期でもあります。ストレスは症状を悪化させる大きな要因です。
深呼吸・瞑想・趣味の時間・友人とのおしゃべりなど、自分なりのリセット方法を持っておくことが大切です。「がんばらない」「完璧を求めない」という意識も、心を軽くしてくれます。
瞑想やマインドフルネスは、近年その効果が科学的に証明されてきています。1日5分、目を閉じて呼吸に意識を向けるだけでも、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があると報告されています。
「自分の時間」を意識的に確保することも重要です。家族のため、仕事のために動き続けてきた方ほど、自分のための時間を持つことに罪悪感を感じがちです。しかし、自分を大切にすることが、結果的に周りの人を大切にすることにつながります。
「我慢しない自分でいることが、今後の人生をより良くするのではないでしょうか。多くの女性が不調を感じても我慢をしてしまいがちですが、まずは自分の体の声に耳を傾けてほしいと思います」
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生活習慣の見直しは、効果が現れるまでに時間がかかります。最低でも2〜3ヶ月、できれば半年は続けてみることをおすすめします。すぐに変化を求めず、じっくり続ける姿勢が大切です。
また、自分一人でがんばろうとせず、家族や友人と一緒に取り組むのも効果的です。一緒にウォーキングをする仲間がいれば続けやすくなりますし、家族が食事に協力してくれれば栄養バランスも整いやすくなります。
更年期症状が重い時期は、無理をしないことも大切です。「運動しなければ」「健康的な食事を作らなければ」とプレッシャーになると、かえってストレスになります。できる範囲で、楽しみながら続けることが何よりの薬になります。
💊 第4章 【対策②】ホルモン補充療法(HRT)
4-1 HRTの基本
ホルモン補充療法(HRT)とは、減少した女性ホルモンを少量補ってあげる治療法です。英語では「Hormone Replacement Therapy」、略してHRTと呼ばれています。
使われるのは主にエストロゲンです。子宮がある方には、子宮内膜を守るために黄体ホルモン(プロゲスチン)も併用します。エストロゲンだけを長く使うと、子宮内膜がんのリスクが上がるためです。
子宮を摘出している方は、エストロゲンのみを使う「ER(エストロゲン補充療法)」となります。投与方法は、飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類。生活スタイルや体質に合わせて選びます。
日本産科婦人科学会と日本女性医学学会が監修する「ホルモン補充療法ガイドライン」が定期的に改訂されており、2025年度版が最新です。世界の研究を踏まえた最新の知見にもとづいて、医師は治療を進めています。
| 投与方法 |
特徴 |
向いている方 |
| 飲み薬 |
手軽だが、肝臓を通るので負担あり |
飲み忘れが少ない方 |
| 貼り薬(パッチ) |
皮膚から吸収、肝臓への負担少ない |
血栓症リスクを抑えたい方 |
| 塗り薬(ジェル) |
|
4-2 メリットとリスク
HRTは更年期障害の治療において、もっとも効果が高い方法の一つとされています。日本産婦人科医会が公開する情報では、ホットフラッシュや発汗には特に高い効果があると報告されています。
| 分類 |
期待できる効果・注意点 |
| メリット |
ホットフラッシュ・発汗の改善/不眠・気分の改善/骨粗しょう症の予防/皮膚や粘膜の乾燥改善/動脈硬化の予防 |
| 注意点 |
乳房の張り・不正出血/長期使用で乳がんリスクがわずかに上昇/血栓症のリスク(特に飲み薬) |
| 使えない方 |
1
問診・検査
症状の聞き取り、血液検査でホルモン値を確認、乳がん検診・子宮がん検診を受けます。家族歴や既往歴も詳しく聞かれます。
2
投与方法の選択
飲み薬・貼り薬・塗り薬から、症状や生活スタイルに合った方法を医師と相談して決めます。最初は少量から始めるのが一般的です。
3
経過観察
数週間で効果を実感する方が多いです。3〜6ヶ月ごとに通院し、効果や副作用を確認します。必要に応じて投与量や方法を調整します。
4
継続または終了の判断
日本産婦人科医会の見解では、年齢や期間で一律に終了する必要はないとされています。医師と相談しながら継続期間を決めます。少しずつ減量していくのが一般的です。
HRTには費用もかかります。保険適用となるため、3割負担の場合、月額1,500〜3,000円程度が目安です。検査費用は別途必要となります。
「ホルモン剤」と聞くと身構えてしまう方もいますが、自分の体に元々あったホルモンを補うだけです。正しい知識を持って、信頼できる医師と相談しながら使えば、QOL(生活の質)を大きく向上させてくれる治療法です。
欧米ではHRTは更年期治療のスタンダードとなっており、約30%の女性が利用しているとされています。一方、日本でのHRT利用率は2%程度と非常に低い水準にとどまっています。これは、過去の誤った情報が広まったことや、ホルモン剤への漠然とした不安が原因と考えられています。
HRTを始めるタイミングも大切です。閉経後10年以内、60歳未満で開始することが推奨されています。これは「ウィンドウ・オブ・オポチュニティ(機会の窓)」と呼ばれ、この時期に始めるとメリットが最大化されることがわかっています。閉経から時間が経ちすぎると、心血管系のリスクが高まる可能性があります。
最近では、HRTのほかに「TSEC(組織選択性エストロゲン複合体)」と呼ばれる新しい治療法も登場しています。エストロゲンの良い面だけを引き出し、リスクを抑える設計になっています。日本では一部のクリニックで利用可能です。
「HRTは、適切な時期に始めれば、ホットフラッシュや骨粗しょう症の予防に高い効果が期待できる治療法です。一律に終了する年齢は決まっておらず、個々の状況に応じて医師と相談しながら継続期間を決めていくのが現代の考え方です」
🌿 第5章 【対策③】漢方薬
5-1 命の母A・加味逍遙散・当帰芍薬散などの違い
漢方薬は、東洋医学の考え方にもとづいた薬です。「全身のバランスを整える」ことを目的とし、副作用が比較的少ないのが特徴です。HRTが使えない方や、軽〜中等度の症状の方によく使われます。
更年期障害でよく処方されるのは、「女性の三大漢方」と呼ばれる3つの薬です。それぞれ得意な症状と、向く体質が異なります。
| 漢方薬 |
向いている体質 |
主な効果 |
当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん) |
色白・華奢・冷え性・疲れやすい方 |
冷え・むくみ・頭痛・めまい・貧血 |
加味逍遙散 (かみしょうようさん) |
標準的な体格・イライラしやすい方 |
ほてり・イライラ・不眠・不安感 |
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん) |
|
市販されている「命の母A」は、これら三大漢方を参考にして、より幅広い人に対応できるよう小林製薬が独自に配合した医薬品です。13種類の生薬とビタミン類が配合され、軽い更年期症状に手軽に使える点が魅力です。
命の母Aは、明治36年から販売されている100年以上の歴史ある医薬品です。当時から女性の不調に寄り添ってきた市販薬で、現在も多くの方に親しまれています。
その他にも、更年期障害でよく使われる漢方薬があります。症状や体質によって、医師は次のような薬を組み合わせます。
- 加味帰脾湯(かみきひとう)――不安や不眠、貧血気味の方に
- 抑肝散(よくかんさん)――イライラや興奮を抑えたいときに
- 女神散(にょしんさん)――のぼせと不安が強いときに
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)――疲労感が強いときに
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)――喉のつかえ感や不安に
5-2 体質別の選び方
漢方薬は「証(しょう)」と呼ばれる体質に合わせて選ぶことが大切です。同じ症状でも、体質に合わない薬は効果が出にくく、副作用が出ることもあります。
「証」とは、体の状態を東洋医学的に分類したものです。体力の有無で「実証」「中間証」「虚証」に分けられ、それぞれに合う漢方薬が異なります。
- 実証――体力があり、がっしりした体型。胃腸が丈夫で、暑がりな方
- 中間証――その中間。体力は普通で、特に強い偏りがない方
- 虚証――体力がなく、華奢な体型。胃腸が弱く、冷えやすい方
自己判断が難しい場合は、漢方を扱う婦人科や漢方薬局で相談すると安心です。日本東洋医学会の専門医を探すのも一つの方法です。
「更年期障害では、当帰芍薬散は虚証で冷え性・頭痛・めまいに、加味逍遙散は中間証で精神神経症状に、桂枝茯苓丸は実証でのぼせ・肩こりに効果が期待できます」
漢方薬は効果が出るまで時間がかかることが多く、最低でも2週間〜1ヶ月は続けて様子を見ることが推奨されます。ただし、合わない場合は早めに変更することもあります。漫然と長期間続けず、定期的に医師の評価を受けましょう。
漢方薬の処方は、医療機関を受診すれば保険適用となります。ツムラやクラシエなどの製薬会社が、医療用漢方製剤を作っています。市販の漢方薬と医療用漢方薬では、成分量や品質に違いがあるため、本格的に治療したい場合は医療機関を受診するのが望ましいでしょう。
飲み方にもコツがあります。漢方薬は基本的に食前または食間(食事の2時間後)に、白湯で飲むことが推奨されます。空腹時のほうが吸収が良くなるためです。お湯に溶かしてゆっくり飲むと、本来の生薬の風味も感じられ、効果も高まると言われています。
「漢方は副作用がない」と思われがちですが、これは誤解です。確かに西洋薬に比べると副作用は少ないですが、ゼロではありません。前述の甘草による副作用のほか、間質性肺炎や肝機能障害などの重い副作用が報告されている薬もあります。定期的な検査を受けながら使うことが大切です。
5-3 西洋薬との併用
漢方薬は、HRTや抗うつ薬と併用することも可能です。むしろ、互いの足りない部分を補い合うことで、より穏やかに症状を改善できる場合があります。
例えば、HRTでホットフラッシュは改善したけれど、冷えやむくみが残る場合に、当帰芍薬散を追加することがあります。逆に、漢方だけでは効果が不十分な場合に、HRTを併用することもあります。
ただし、自己判断での併用は避けましょう。必ず医師や薬剤師に相談してください。漢方薬には「甘草」を含むものが多く、長期連用で副作用(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)が出ることもあるため、注意が必要です。
💡 ここがポイント
漢方薬は「自分の体質に合うもの」を選ぶことが何より大切です。市販薬で改善しない場合は、必ず婦人科や漢方専門医に相談してください。「効くまでに時間がかかる」「自己判断は禁物」――この2点を覚えておきましょう。
💙 第6章 【対策④】抗うつ薬(SSRI/SNRI)
6-1 なぜ更年期に処方されるのか
「更年期で抗うつ薬?」と驚く方もいるかもしれません。しかし、更年期障害の心の症状や、ホットフラッシュにも、抗うつ薬が有効であることがわかってきています。
HRTを使えない方(乳がんの既往がある方など)や、HRTで気分の落ち込みが改善しない方の選択肢として、抗うつ薬が処方されるケースが増えています。
更年期はうつ病を発症しやすい時期でもあります。エストロゲン減少が脳内のセロトニン(気分を安定させる物質)の働きを低下させるため、もともとうつ病の素因がある方は、この時期に発症することがあります。
「ただの更年期」と思っていた症状が、実はうつ病だったというケースも珍しくありません。落ち込みが2週間以上続く、何をしても楽しくない、消えてしまいたいといった気持ちがある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
6-2 主な薬と効果
使われる主な薬は、SSRI(気分を安定させる薬)とSNRI(気分と意欲を支える薬)の2種類です。
| 分類 |
代表的な薬 |
主な効果 |
SSRI (気分を安定させる薬) |
レクサプロ・ジェイゾロフト・パキシル・ルボックス |
不安・落ち込み・ホットフラッシュの軽減 |
SNRI (気分と意欲を支える薬) |
|
研究では、症状の改善率は無治療で約20%、SSRIで約40%、SNRIで約50%とされています。きちんと効果が確認されている治療法です。
SSRIは、脳内のセロトニンを増やすことで気分を安定させます。比較的副作用が少なく、日中眠気が出にくいため、仕事をしながら治療を続けやすい薬です。
SNRIは、セロトニンに加えてノルアドレナリン(やる気のホルモン)も増やします。意欲低下が強い方や、痛みを伴う症状がある方に向いています。
ホットフラッシュへの効果も注目されています。HRTほどの即効性はありませんが、HRTが使えない方にとって貴重な選択肢となります。アメリカでは更年期のホットフラッシュ治療薬として、一部のSSRI/SNRIが正式に承認されています。
6-3 副作用と注意点
抗うつ薬には以下の特徴があります。正しく理解して使うことで、安全に効果を得られます。
- 効果が出るまで2〜4週間かかります。すぐにやめないことが大切です。
- 初期の副作用として吐き気・頭痛・眠気が出ることがありますが、多くは1〜2週間で軽くなります。
- 急に中断すると不調(離脱症状)が出ることがあるため、医師の指示通りに減量します。
- 他の薬との飲み合わせに注意が必要です。お薬手帳を活用しましょう。
- 飲酒は基本的に控えるよう指導されます。
「抗うつ薬を飲むと依存するのでは?」と心配される方もいますが、SSRI/SNRIには依存性はありません。安心して使える薬です。ただし、急に中断すると体が驚いてしまうため、必ず医師の指示通りに減量することが大切です。
更年期の心の症状は、婦人科でも処方してもらえることがあります。心療内科の敷居が高いと感じる方は、まず婦人科や更年期外来で相談してみるとよいでしょう。必要に応じて、心療内科を紹介してもらえます。
抗うつ薬以外にも、不安が強いときには抗不安薬(一般的にデパス・ソラナックスなど)が一時的に処方されることがあります。これらは即効性がありますが、依存性のリスクもあるため、短期間の使用にとどめるのが一般的です。長期的な治療には、SSRI/SNRIが使われます。
気分の落ち込みが強い場合は、薬物療法と並行してカウンセリング(次章で解説)を組み合わせるのが効果的です。「薬で症状を抑える」と「考え方を整える」の両輪で進めることで、再発予防にもつながります。
更年期うつに気づくサインとしては、以下があります。一つでも当てはまる場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 2週間以上、気分の落ち込みが続いている
- 何をしても楽しくない、興味が持てない
- 食欲が極端に落ちた、または増えた
- 「消えてしまいたい」「いなくなりたい」と感じる
- 朝起きるのがつらく、布団から出られない
💡 ここがポイント
抗うつ薬は、心の症状やホットフラッシュにも有効な選択肢の一つです。「更年期だから」と我慢せず、メンタルがつらいときは婦人科や心療内科で相談してください。SSRI/SNRIには依存性はありません。
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🤝 第7章 【対策⑤】カウンセリング・心理療法
7-1 カウンセリングが効く更年期症状
更年期障害は、ホルモン変動だけでなく、心理的・社会的な要因も大きく関わります。職場・家庭・人間関係の悩みが症状を悪化させることも少なくありません。
そんなとき、専門家に話を聞いてもらうカウンセリングは、薬とは違う角度から症状を和らげてくれます。特に効果が期待できるのは次のような症状です。
- 不安・落ち込み・イライラ
- 不眠・パニック発作
- ホットフラッシュ(意外に思われますが、心理療法でも改善が報告されています)
- 人生の節目への戸惑い
- 職場・家庭でのストレス
- 自己肯定感の低下
カウンセリングは「弱い人」が受けるものではありません。むしろ「自分のことを大切にできる人」が選ぶ、積極的なメンタルケアです。海外では、年に1〜2回カウンセリングを受けるのが当たり前という国もあります。
7-2 認知行動療法(CBT)の具体例
カウンセリングで広く使われているのが、認知行動療法(CBT)です。これは「物事の受け取り方」と「行動」を少しずつ変えていくことで、心の不調を和らげる方法です。
もともと1960年代にアメリカのアーロン・ベック博士が、うつ病の治療法として開発したものです。その後、不安障害・パニック障害・強迫性障害など、幅広い心の不調に効果があることがわかってきました。
更年期のホットフラッシュにも、CBTが有効であることがわかっています。これは、ホットフラッシュへの不安や恐怖が症状を悪化させる悪循環を、考え方の修正によって断ち切るためです。
たとえば、ホットフラッシュが起きたとき――。
| 場面 |
これまでの考え方 |
CBT後の考え方 |
| 急に汗が出る |
「恥ずかしい、人に見られたくない」 |
「数分で落ち着く、深呼吸をしよう」 |
| 夜眠れない |
「明日も寝不足でつらい、最悪」 |
「眠れなくても横になっているだけで休める」 |
| 家事ができない |
「私はダメな主婦だ」 |
「今日は休む日。明日できる」 |
| 仕事でミスをした |
|
このように考え方をやわらかく変えていくことで、症状そのものは変わらなくても、つらさが大きく軽減されることがわかっています。
CBTは1回で終わるものではなく、通常は週1回・全8〜16回程度のセッションを通して進めていきます。カウンセラーと一緒に「考え方のクセ」を見つけ、少しずつ変えていく作業です。
自宅でできるセルフCBTもあります。市販されているワークブックや、認知行動療法のアプリも活用できます。国立精神・神経医療研究センターが運営する「ここトレ」というサイトでは、無料のセルフトレーニングが提供されています。
7-3 オンラインカウンセリングという選択肢
「カウンセリングに通うのは抵抗がある」「忙しくて時間が取れない」という方には、オンラインカウンセリングがおすすめです。
自宅から、スマホやパソコンで気軽に専門家とつながれます。顔を出さずに音声だけ・チャットだけというサービスもあり、心理的なハードルが下がります。
✅ オンラインカウンセリングのメリット
- 移動時間ゼロ・自宅のリラックスできる空間で受けられる
- 顔出しなしのプランもあり、人目を気にせず相談できる
- 料金が比較的わかりやすく、初回お試しがあるサービスも
- 継続的に同じカウンセラーと対話を重ねられる
- 地方在住でも、東京の有名カウンセラーと話せる
- 匿名で利用できるサービスも多い
カウンセラーを選ぶときは、資格を持っているかどうかも一つの目安になります。「公認心理師」は2017年にできた国家資格で、「臨床心理士」は民間資格ですが歴史と実績があります。
料金の相場は、対面で1回50分・8,000〜15,000円、オンラインで5,500〜10,000円程度です。継続することを考えると、続けやすい価格帯のサービスを選ぶことも大切です。
カウンセリングを受ける際は、「相性」も重要なポイントです。最初のカウンセラーと合わないと感じたら、無理に続けず別の方を試すのも選択肢です。大切なのは、自分が安心して話せる相手を見つけることです。
また、自治体の保健センターや地域の女性相談センターでは、無料または低料金でカウンセリングを受けられる場合があります。「金銭的に厳しい」という方は、こうした公的サービスもチェックしてみてください。職場のEAP(従業員支援プログラム)が利用できる場合もあります。
更年期は、自分の人生を振り返る良い機会でもあります。これまでの人生で「我慢してきたこと」「やりたかったこと」を整理し、これからの生き方を考え直すきっかけにする方も多くいます。カウンセリングは、そうした人生の再設計を伴走してくれるサービスでもあります。
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♂️ 第8章 男性更年期(LOH症候群)も軽く触れる
8-1 男性更年期とは
更年期は女性だけの問題ではありません。男性にも、男性ホルモン(テストステロン)の低下による「男性更年期」があります。
正式名称は「加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)」と呼ばれ、日本泌尿器科学会から診療ガイドラインが出されています。LOHは「Late-Onset Hypogonadism」の略です。
女性の更年期と違い、男性の場合は40代から70代まで幅広く起こり、人によって発症時期も大きく異なります。テストステロンの減少が緩やかなので、本人も気づきにくいのが特徴です。
働き盛りの40代〜50代男性でうつ症状が出た場合、実はLOH症候群が背景にあることがあります。「ただの疲れ」「中年だから仕方ない」と片付けず、検査を受けてみる価値があります。
8-2 主な症状と治療
男性更年期の症状は、女性と似ている部分も多くあります。
| 症状の種類 |
代表的な症状 |
| 体の症状 |
のぼせ・多汗・全身のだるさ・筋力低下・関節痛 |
| 心の症状 |
不眠・無気力・イライラ・集中力低下・うつ症状 |
| 性機能 |
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🤔 第9章 自分に合う対策の選び方
9-1 症状別の組み合わせ提案
5つの対策をどう組み合わせるか、症状別の参考プランをご紹介します。あくまで目安なので、最終的には主治医と相談して決めましょう。
| 主な症状 |
おすすめの組み合わせ |
| ホットフラッシュが強い |
HRT+生活習慣の見直し |
| 冷え・むくみが強い |
漢方薬(当帰芍薬散)+運動 |
| イライラ・落ち込みが強い |
漢方(加味逍遙散)またはSSRI+カウンセリング |
| 不眠が強い |
生活習慣(睡眠衛生)+HRT or 漢方 |
| 乳がんの既往でHRTが使えない |
漢方薬+SSRI+CBT |
| 複数の症状が重なっている |
✅ こんなときは婦人科へ
- 日常生活に支障が出ている
- 仕事や家事のパフォーマンスが落ちている
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- 不正出血がある
- 家族や友人との関係に悪影響が出ている
- 生活の質が明らかに下がったと感じる
- 市販薬で対処しているが改善しない
初めて受診する場合は、更年期外来や女性外来を持つ病院・クリニックがおすすめです。最近はオンライン診療を行うクリニックも増えており、忙しい方でも受診しやすくなっています。
受診の際は、これまでの症状の経過・他に飲んでいる薬・既往歴・家族歴などをメモして持参するとスムーズです。月経の記録があれば、それも持参しましょう。
「何科に行けばいいかわからない」という場合は、まず婦人科を受診するのがおすすめです。必要に応じて、心療内科・整形外科・内分泌内科などへ紹介してもらえます。
受診先選びのコツとしては、「更年期外来」「女性外来」「メノポーズクリニック」などの専門外来を持つ施設が安心です。日本女性医学学会のホームページでは、認定女性ヘルスケア専門医のリストが公開されています。お住まいの近くで専門医を探してみるのも一つの方法です。
初診で大切なのは、「自分の症状を正しく伝える」ことです。緊張して言いたいことを忘れてしまう方も多いので、メモを持参しましょう。「いつから」「どんな症状が」「どれくらいの頻度で」「どれくらいつらいか」を書き出しておくと、医師も診断しやすくなります。
9-3 家族や職場の理解を得る
更年期の対策で見落とされがちなのが、「周囲の理解を得る」ことです。家族や職場の人が更年期について理解していると、症状はぐっと楽になります。
パートナーや子どもに「私は今、更年期で大変な時期にいる」と伝えるのは勇気が必要です。でも、伝えなければ理解してもらえません。「イライラしているのは、あなたが嫌いだからじゃないよ」と一言伝えるだけで、家庭の空気は変わります。
職場でも、信頼できる上司や同僚には伝えておくと安心です。最近では「フェムテック」「女性活躍」の文脈で、更年期への理解を深める企業も増えてきました。在宅勤務や時差出勤など、柔軟な働き方を活用することも考えましょう。
厚生労働省の「女性の健康週間」(毎年3月1日〜8日)では、更年期障害への理解を広める啓発活動が行われています。家族や職場の人と一緒に、こうした情報に触れる機会を作るのもおすすめです。
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更年期のホルモン変化による薄毛は、多くの女性が悩む症状のひとつです。マイナチュレは女性の頭皮環境に特化した無添加育毛剤。
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- ② 無添加・低刺激で敏感な頭皮にも使いやすい
- ③ 医師・薬剤師監修の安心処方
💡 まとめ
更年期障害への対策は、5つの大きな柱があります。
- 生活習慣の見直し――食事・運動・睡眠・ストレス管理が土台
- ホルモン補充療法(HRT)――もっとも効果が高い医療的治療
- 漢方薬――体質に合わせて穏やかに整える選択肢
- 抗うつ薬(SSRI/SNRI)――心の症状やホットフラッシュにも有効
- カウンセリング――考え方を整え、心の負担を軽くする
これらは「どれか一つ」を選ぶものではありません。症状や体質、生活スタイルに合わせて、医師と相談しながら組み合わせていくものです。
更年期は、人生の後半をより自分らしく生きるための「準備期間」と捉えることもできます。つらいときは我慢せず、専門家の力を借りてください。
厚生労働省(2022年)「更年期症状・障害に関する意識調査」では、女性の約60.3%が誰にも相談したことがないと報告されています。「我慢が美徳」という時代は、もう終わりです。利用できるサポートをためらわずに使い、自分の人生を大切にしましょう。
あなたの毎日が、少しでも穏やかであたたかいものになりますように。この記事が、あなたが次の一歩を踏み出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
更年期は、女性の人生のなかで「第二の思春期」とも言われます。思春期と同じく、ホルモンの大きな変化があり、体と心が揺れ動く時期です。でも、思春期を乗り越えた私たちは、更年期もきっと乗り越えられます。
大切なのは、「自分の体の声に耳を傾けること」「我慢しすぎないこと」「使えるサポートをためらわず使うこと」の3つです。この記事で紹介した5つの対策を、ぜひ自分のペースで取り入れてみてください。
そして、もしこの記事を読んでいるのが、更年期に直面しているご家族や友人を支える側の方なら――。「大変だね」「無理しないでね」という一言が、どれほど心の支えになるか、ぜひ知っておいてください。理解し合える人が一人いるだけで、人は強くなれます。
更年期の先には、新しい人生のステージが待っています。子育てや家事、仕事に追われてきた女性が、ようやく「自分のために生きる」時間を持てる時期でもあります。今のつらさは、必ず通り過ぎていきます。あせらず、ゆっくりと、自分らしい毎日を取り戻していきましょう。
最後に、今すぐにできる小さな行動を3つご提案します。完璧を目指さず、できるものからで構いません。
一つ目は、「今日、誰かに話してみる」こと。家族・友人・かかりつけ医――誰でもいいので、自分の不調を口に出してみましょう。話すだけで気持ちが軽くなることがあります。
二つ目は、「今夜、いつもより30分早く寝る」こと。睡眠は心と体のリセット時間です。30分でも積み重ねれば、大きな違いになります。
三つ目は、「明日、近所を10分歩く」こと。運動は気分を変えてくれる強い味方です。難しく考えず、まずは外に出ることから。
小さな一歩の積み重ねが、未来の自分を支えてくれます。あなたの人生がこれからも温かく、豊かなものでありますように。
💡 最後にもう一度
更年期障害は「自分一人でなんとかするもの」ではありません。家族・友人・専門家、使えるサポートをためらわずに使いましょう。あなたを支えてくれる人と仕組みは、きっとあります。今日からできる小さな一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
引用元・参考資料
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の治療や薬の選択は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
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