日本財団 18歳意識調査 第78回6カ国の若者たちは今、何を感じているか 考察
18歳意識調査 第78回
6カ国の若者たちは今、
何を感じているか
自分の国の重要な課題
日本・韓国は少子化・高齢化、アメリカ・イギリスは差別・貧困、インドは教育・貧困が最大の課題。「移民の増加」「自然災害」を上位に挙げたのは日本だけ。
日本のトップ5課題
- 1少子化41.5%
- 2高齢化37.1%
- 3経済成長27.9%
- 4移民の増加19.2%
- 5自然災害16.3%
韓国のトップ5課題
- 1少子化64.0%
- 2高齢化51.6%
- 3経済成長25.1%
- 4教育の質23.9%
- 5気候変動・温暖化17.8%
アメリカのトップ5課題
- 1人種差別・偏見36.8%
- 2貧困30.9%
- 3テロ・犯罪24.0%
- 4教育の質22.4%
- 5気候変動・温暖化21.3%
インドのトップ5課題
- 1教育の質40.9%
- 2貧困33.7%
- 3環境汚染31.1%
- 4経済成長21.1%
- 5テロ・犯罪20.8%
「移民の増加」「自然災害」が上位5項目に挙がったのは日本のみ。「経済成長」はアメリカを除く5カ国の上位5項目に共通して登場した。
自国の現在・10年後の競争力
日本の若者は「医学・科学技術」「スポーツ」「教育・文化」の競争力を評価。ただし「軍事・防衛」は約40%と、他国(70%超)より大幅に低い。10年後はインドが全分野で上昇予測、韓国は全分野で下降予測。
「軍事・防衛」の競争力:6カ国比較
インドは全8分野で「今後強くなる」が現在を上回り、全国中最大の楽観主義。韓国は「環境・エネルギー」以外の全分野で現在を下回り、最大の悲観主義を示した。日本は「軍事・防衛」「外交」で予測値が上昇。
自国の将来をどう見るか
「国の将来は良くなる」と答えた割合で、日本は6カ国中ダントツの最下位。「どうなるかわからない」が34.2%と最も多く、将来への不確実感が突出している。
15.3→15.6
26.3→30.8
24.6→34.0
85.0→54.8
41.4→23.5
78.3→61.8
中国では「良くなる」が2年間で85.0%から54.8%へと約30pt急落。不動産バブル崩壊や若者失業率の上昇など、経済への不安が若者意識を大きく変えた可能性がある。
自分自身をどう見るか
日本の若者は「日々の生活で不安やゆううつを感じる」以外のほぼ全項目で6カ国中最下位。不安は他国と同水準なのに、夢・個性・回復力への自己評価は著しく低い。
インド86.3% / 英国83.1%
インド83.7% / 英国82.6%
インド81.4% / 米国77.0%
米国67.4%とほぼ同水準
社会参加意識と政治観
社会参加に関する全項目で日本が6カ国最下位。「自分の行動で社会を変えられる」は52.7%にとどまる。政治が生活に影響するとわかっていても、変えられないという無力感が深い。
| 項目 | 日本 | 米国 | 英国 | 中国 | 韓国 | インド |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 政治・選挙は生活に影響する | 71.6% | 74.3% | 78.1% | 66.5% | 76.9% | 73.5% |
| 新しいことを学び続けたい | 70.3% | 81.7% | 84.0% | 77.6% | 82.0% | 85.5% |
| 国や社会に役立つことをしたい | 68.0% | 76.7% | 79.7% | 78.3% | 75.4% | 83.7% |
| 責任ある社会の一員だと思う | 65.4% | 74.3% | 80.5% | 75.8% | 74.2% | 84.4% |
| 自分は大人だと思う | 53.9% | 71.1% | 76.6% | 66.3% | 54.9% | 79.4% |
| 行動で国や社会を変えられる | 52.7% | 66.7% | 66.3% | 69.5% | 60.8% | 78.0% |
| ボランティア活動に参加したい | 60.6% | 74.2% | 73.0% | 73.5% | 73.6% | 81.6% |
| 慈善活動のために寄付したい | 57.7% | 75.4% | 77.8% | 70.7% | 71.2% | 82.8% |
社会参加関連の全6項目で日本が最下位。特に「慈善活動のための寄付(57.7%)」はインド(82.8%)と25pt以上の差。「政治は影響する」のに「変えられない」という政治的無力感も際立つ。
生活満足度と人生の価値観
日本では生活満足度の全5項目が6カ国最低水準。特に「自分の人生への満足」が63.3%と低い。人生で大切なものとして「趣味・好きなこと」を1位に挙げたのは日本だけ(他5カ国は「家族」が1位)。
英国79.0% / インド78.0%
日本で最も高い満足項目
他5カ国の1位はすべて「家族」
他国25〜35%。日本は最低水準
中39.2% / 韓54.1% / 印56.2%
なぜ学ぶのか、何の仕事に就くか
「学校で勉強する意味が特にない」と答えた日本の若者は約20%。仕事を選ぶ基準も「特にない」が18%と他国を大幅に上回る。なりたい職業では「芸能・音楽・美術」が1位だが、「特にない」も22.5%と突出して多い。
日本の「なりたい職業」上位5
- 1芸能・音楽・美術20.5%
- 2観光・宿泊・飲食14.1%
- 3教師・講師・保育士10.6%
- 4医師・看護師・介護士10.5%
- 5公務員10.2%
- 「特にない」22.5%
インドの「なりたい職業」上位5
- 1ソフトウェア技術・開発23.3%
- 2公務員18.0%
- 3芸能・音楽・美術17.5%
- 4デジタルインフルエンサー13.8%
- 5医師・看護師・介護士12.8%
- 「特にない」1.0%
仕事選びの重視項目の上位10位に「独立することができるか」を挙げたのは日本以外の5カ国すべて。日本のみリストに入らなかった。起業・独立への関心の低さが顕著に表れた。
生成AIへの意識と活用
日本は「生成AIを使ったことがない」が18.3%と6カ国断トツ。一方で情報源として「生成AI」を最も信頼する割合は日本が唯一上位に。AI活用の遅れと、使った人の高い信頼感が並存している。
生成AIの主な利用目的(日本・使用経験者)
AIを感情的サポートに使う日本の若者が約22%。「不安やゆううつを感じる」割合の高さとも符合。AIをカウンセラー代わりに使う層の存在が示唆される。
生成AIのリスク認識(日本の上位5項目)
6カ国共通で「SNS上の有害投稿の検出」「進学・キャリアのアドバイス」「気候変動の予測や災害対応」が上位3位。「政策決定」「恋愛マッチング」「宗教の助言」は6カ国共通で下位3位。
調査が示す「日本の若者」の現在地
数字が浮かび上がらせるのは、「変わりたいが変えられない」「不安だが夢が描けない」という日本の若者の内なる矛盾。同時に、医学・科学・スポーツへの誇り、AIへの批判的思考力など確かな強みも存在する。
日本の若者の「強み」
- 科学技術・スポーツへの誇り
- AI・技術リスクへの批判的思考
- 少子化・社会課題への問題意識
- ジェンダー役割規範への懐疑
- 感情を率直に認識できる
日本の若者の「課題」
- 自己肯定感・自己効力感が最低
- 国の将来への希望が薄い(15.6%)
- 社会参加・ボランティア意欲が低い
- 学び・仕事への目標が不明確
- 生成AI活用が6カ国最下位
| 指標 | 日本の値 | 6カ国中 | 最高国 |
|---|---|---|---|
| 「国の将来は良くなる」 | 15.6% | 6位 | インド 61.8% |
| 「将来の夢を持っている」 | 62.4% | 6位 | インド 86.3% |
| 「人に誇れる個性がある」 | 58.6% | 6位 | インド 83.7% |
| 「行動で社会を変えられる」 | 52.7% | 6位 | インド 78.0% |
| 「留学・海外就労をしたい」 | 50.0% | 6位 | インド 81.0% |
| 生成AI「未使用率」 | 18.3% | 最多 | インド 1.6% |
| 勉強する意味「特にない」 | 19.3% | 最多 | インド 1.0% |
| 「自国の競争力:医学・科学」 | 73.1% | 中位 | 韓国 86.8% |
