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「本を読みたいとは思っているけれど、忙しくてなかなか時間が取れない」——そんな悩みを持つ人が増えるなか、オーディオブックへの注目が高まっています。通勤中や家事の合間に「耳で聴く読書」ができるという手軽さは、多くの人にとって魅力的です。

ただし、「聴けば必ず効率的」と単純に言い切れるわけではありません。読む読書と聴く読書には、それぞれ得意とする場面があり、目的によって使い分けることが重要です。この記事では、科学的な研究をもとに、両者の違いと最適な活用法を解説します。

第1章で全体像をつかみ、第2章で結論を先にお伝えします。第3〜6章では研究の詳細、第7〜10章では実践的な使い方のコツ、第11・12章では具体的な三段階活用法と用途別使い分けを紹介します。

結論:読む方が速く正確、聴く方が続きやすい

読むことは、情報を正確につかむ技術です。聴くことは、情報を生活に流し込む技術です。定着には、自分の言葉で取り出すことが必要です。

この一文が、本記事のすべてを要約しています。どちらが「優れている」のではなく、それぞれに異なる強みがあります。忙しい人がオーディオブックに向いている最大の理由は「効率」ではなく「継続しやすさ」にあります。以下、順を追って解説します。

研究上、読むと聴くの理解度は大きく変わらない

「読む方が聴くより理解できる」と直感的に思う方は多いでしょう。しかし研究は、必ずしもそれを支持していません。

Rogowsky, Calhoun, & Tallal(2016)は、SAGE Openに掲載された研究のなかで、読書と聴取、そして両方を組み合わせたデュアルモードの3条件を比較しました。被験者は大学生で、同一のテキスト教材を用い、理解度テストで評価されました。結果は、3条件のあいだに統計的に有意な差は見られませんでした。

ただし、向き不向きは本のタイプによって異なります。手順や数式を追うような技術書・教科書は読む方が有利で、物語・エッセイ・教養書はオーディオブックでも遜色ない理解が得られることが多いという考察があります。

Rogowsky, B.A., Calhoun, B.M., & Tallal, P. (2016). Does modality matter? SAGE Open, 6(3). https://doi.org/10.1177/2158244016669550

オーディオブック向き

  • 物語・小説・伝記
  • 教養・エッセイ
  • 自己啓発・ビジネス書(概念中心)
  • 繰り返し聴く前提の本
  • 歴史・ノンフィクション

紙・電子書籍向き

  • 技術書・プログラミング書
  • 数式・図表の多い本
  • 学術書・論文集
  • 後で参照・検索が必要な本
  • 精読・書き込みが必要な本

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細かい記憶や確認は読む方が有利

一方で、「細部の正確な記憶」という点では、読む方が優位という研究もあります。

Gell et al.(2019)は、JAMIA Openに掲載された研究で、健康情報を音声と文字で提供した場合の記憶保持を比較しました。結果として、文字情報の方が細かい内容の正確な記憶において優れていることが示されました。ただし、同研究では繰り返し提示によって音声でも同等の記憶定着が得られることも示されており、「一度聴くだけ」という使い方の限界を示唆しています。

薬の服用方法・数値・固有名詞などの正確な記憶が必要な場合は、テキストを手元に置いて確認できる状態にするか、複数回聴き直すことが推奨されます。

Gell, N.M. et al. (2019). Effect of audio vs text-based delivery of health information on memory for information. JAMIA Open, 2(2), 254-260. https://academic.oup.com/jamiaopen/article/2/2/254/5487846

比較項目 読む(テキスト) 聴く(オーディオ)
全体的な理解度 同等 同等
処理速度(自分でコントロール) 高い(速読可) 音声速度に依存
細部・数値の正確な記憶 有利 繰り返しで改善
継続性・習慣化 時間確保が必要 ながら聴きで高い
利便性(手・目が使えない時) 不可 可能

オーディオブック最大の強みは「読書時間を増やせる」こと

私自身、通勤中にAudibleで本を聴くようになってから、月に読める(聴ける)本の数が大きく増えました。これこそがオーディオブックの本質的な強みです。

オーディオブックが最も力を発揮するのは、目と手が他のことに使われている時間を読書に変えられる点です。通勤・散歩・家事・料理・筋トレ——こうした時間は「読書には使えない」と思われがちですが、オーディオブックなら完全に読書時間に変換できます。

仮に、通勤片道30分・家事30分・散歩20分を平日5日使うとすると、週で約350分(約5.8時間)の追加読書時間を生み出せます。月換算で約23時間——これは紙の本なら月6〜8冊分に相当します。

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オーディオブックは「反復」に強い

前章で紹介したGell et al.(2019)の研究が示す通り、音声では繰り返し提示によって記憶定着が大きく改善します。この特性を活かした聴き方が効果的です。

おすすめは「3段階の反復聴取」です。1回目は全体像の把握を目的に流して聴く。2回目は気になった箇所や理解が不十分だったところに集中する。3回目は核心的なメッセージだけを確認する——この3回を異なる場面・状況で聴くことで、自然と記憶に刻まれていきます。紙の本で同じ本を3回読むのはハードルが高いですが、オーディオブックならBGMのように繰り返すことができます。

また、再生速度を1.5〜2倍に設定することで、3回聴いても1冊分の時間以内に収められます。この「反復の容易さ」は、オーディオブックならではの強みです。

定着の鍵は「聴くこと」より「思い出すこと」

どれほど良い本を読んでも・聴いても、翌日には内容の多くを忘れてしまうのは、記憶の性質として自然なことです。重要なのは、「聴いた後に何をするか」です。

Roediger & Butler(2011)は、Trends in Cognitive Sciencesに掲載された研究で「検索練習(retrieval practice)」の重要性を示しました。情報を受け取る(読む・聴く)だけでなく、その後に「思い出す」行為そのものが長期記憶を強化するという、確固たるエビデンスです。

Roediger, H.L. & Butler, A.C. (2011). The critical role of retrieval practice in long-term retention. Trends in Cognitive Sciences, 15(1), 20-27. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1364661310002081

聴いた後にやるべき5つの行動を以下に示します。

  • 13行要約を書く何が主張されていたか、自分の言葉で3行以内にまとめる
  • 2キーワードをメモする印象に残った言葉・概念・人名を5つ書き留める
  • 3誰かに説明する(口頭・文章どちらでも)「この本でこんなことを学んだ」と話すだけで定着率が大幅に上がる
  • 4ブログや日記に書くアウトプットの形を変えることで多重の検索練習になる
  • 5生活に適用する学んだことを今週の行動に1つ取り入れる

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オーディオブックは読書へのハードルを下げる

National Literacy Trust(2024年/2021年調査)は、オーディオブックと読書意欲の関係について興味深いデータを発表しています。調査では、オーディオブックを聴いた経験のある子ども・若者の42.3%が「読書が好きになった」と回答し、37.5%が「オーディオブックがきっかけで本を読むようになった」と答えています。また、61.0%が「オーディオブックは読書を楽しくする」と感じており、44.5%が「オーディオブックを聴いてから本を買ったり借りたりするようになった」と答えています。

National Literacy Trust (2024/2021). Audiobooks and literacy. https://literacytrust.org.uk/information/what-is-literacy/audiobooks-and-literacy/

これは子ども対象の調査ですが、「活字が苦手」「本を読む習慣がない」という大人にも同様の効果が期待できると考えられます。オーディオブックは、読書の「再入門」として最適なツールと言えます。

42.3%
読書が好きになった
37.5%
本を読むようになった
61.0%
読書を楽しくする
44.5%
本を買うようになった

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オーディオブックは「感情・声・物語」に強い

文字は論理に強く、音声は感情に強い——これは読書体験の根本的な違いです。文章を黙読するとき、私たちは主に言語処理系の脳領域を使います。一方、音声を聴くとき、声のトーン・抑揚・間(ま)によって感情系の処理も加わります。

人類の歴史を振り返ると、文字による記録が一般化したのは比較的最近のことです。それ以前、知識・物語・知恵は「語り継ぐ」ことで伝承されてきました。音声による情報伝達は、人間の認知に深く根ざした形式と言えます。

このためオーディオブックは、特に以下のジャンルで優れた体験を提供します。著者本人や俳優が朗読する伝記・回想録、物語性のある歴史ノンフィクション、感情的な体験を伴う自己啓発書。こうした本は、「聴く」ことで文字では得られない温度感と没入感が加わります。

ただし「ながら聴き」には注意

オーディオブックのメリットである「ながら聴き」には、実は向き不向きがあります。作業の性質によって、聴いた内容の理解度が大きく変わります。

「軽く聴いてよい本」は、物語・エッセイ・教養書・動機づけ系の自己啓発書など、深い論理追跡が不要なもの。これらはながら聴きでも十分な効果が得られます。一方、「集中して聴くべき本」は、複雑な論証が続く哲学書・戦略書・学術書・法律書など。これらは歩きながらや家事中には向かず、できれば座って集中して聴く環境を作るべきです。

個人差や好みによっても異なりますが、「内容が頭に入ってこない」と感じたら、その本はながら聴きに向いていないサインと考えてください。

一番よい使い方は「三段階」

読む読書とオーディオブックを組み合わせた「三段階活用法」が、最も効果的な学習戦略です。

第1段階:全体把握

オーディオブックで1.5〜2倍速で通しで聴く。全体像と主要メッセージを頭に入れる。通勤・家事中でOK。

第2段階:重要箇所を読む

電子書籍や紙の本で重要な章だけ精読。気になった箇所をマーキング・メモ。深い理解と正確な記憶のため。

第3段階:自言語化・要約

自分の言葉で要約を書く。人に説明する。ブログ記事にする。Roediger & Butler(2011)の検索練習を実践。

この三段階のうち、第1段階をオーディオブックが担います。「全体像をつかむための最初の一歩」として、まずAudibleで聴いてみることが入り口として最適です。

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三段階活用の第1ステップに。まずAudibleで全体像をつかむ

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用途別の使い分け

目的によって、最適な読書形式は異なります。以下のマトリクスを参考にしてください。

趣味・教養 ビジネス書 歴史・伝記 学術・神学 ブログ記事作成
オーディオブック 最適 補完的 最適 不向き 第1段階
電子書籍 良い 良い 良い 最適 最適
紙の本 良い 精読向き 良い 最適 良い
三段階(組み合わせ) 良い 最適 良い 推奨 最適

趣味・教養目的であれば、オーディオブックだけで完結します。ビジネス書や学術書は、オーディオで全体を把握した後に電子書籍・紙で精読するハイブリッドが最も効率的です。ブログ記事のネタ出しや情報収集には、オーディオブックと電子書籍の組み合わせが特に有効です。

まとめ

  • 読む読書とオーディオブックは「どちらが優れているか」ではなく、目的によって使い分けるものです。
  • 全体的な理解度は読む・聴くで大差ない(Rogowsky et al., 2016)が、細部の記憶は読む方が有利で、繰り返しで改善できます(Gell et al., 2019)。
  • オーディオブック最大の強みは「読書時間を増やせること」。通勤・家事・散歩中を読書時間に変換できます。
  • 聴いた後に「思い出す」行為(要約・説明・記事化)が定着の鍵です(Roediger & Butler, 2011)。
  • 最強の活用法は「オーディオで全体把握→紙・電子で精読→自言語化要約」の三段階です。

読むことは、情報を正確につかむ技術です。聴くことは、情報を生活に流し込む技術です。そして定着させるには、最後に自分の言葉で取り出すことが必要なのです。

忙しい毎日のなかで読書習慣を作りたいと思っている方に、オーディオブックは最初の一歩として最適な選択肢です。まずは無料体験から、一冊聴いてみることをおすすめします。

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参考文献

Rogowsky et al. (2016) Does modality matter? The effects of reading, listening, and dual modality on comprehension. SAGE Open, 6(3). https://doi.org/10.1177/2158244016669550
Gell et al. (2019) Effect of audio vs text-based delivery of health information on memory for information. JAMIA Open, 2(2), 254-260. https://academic.oup.com/jamiaopen/article/2/2/254/5487846
Roediger & Butler (2011) The critical role of retrieval practice in long-term retention. Trends in Cognitive Sciences, 15(1), 20-27. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1364661310002081
National Literacy Trust (2024/2021) Audiobooks and literacy / The role of audiobooks to engage reluctant readers. https://literacytrust.org.uk/information/what-is-literacy/audiobooks-and-literacy/

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