テレビ離れの理由|なぜ進んだのか、年代別データと5つの背景、それでも「テレビ」が残る場所
本ページはプロモーションを含みます
📖 考えるデータと文献からじっくり

「テレビ離れ」という言葉は、もう十年以上使われています。けれど、何が、誰から、どれだけ離れたのかを数字で確かめた人は多くありません。2026年6月、この問いに答える二つの大きな調査結果が相次いで公表されました。総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和7年度)と、NHK放送文化研究所の「2025年 国民生活時間調査」です。
先に結論を書きます。離れたのは「テレビという機械」ではなく、「決まった時間に放送を見る」という習慣です。しかも、それは若い層から順に進み、2025年の調査ではついに、60代以上を含むすべての年層で減りました。一方で、ネット利用を動画・SNSなどに分けて数えるNHKの調査では、国民全体の平均でテレビはいまも最も長く使われているメディアで、70歳以上では視聴時間がむしろ増えています。この二つが同時に起きているのが、いまのテレビ離れの実態です。
この記事では、二つの調査の数字を年代別・時系列にほどき、テレビ離れが進んだ五つの理由と、それでもテレビが残っている場所を整理します。
この記事の早わかり
- 平日にテレビ放送をリアルタイムで見る人は、国民全体で71%(NHK・2025年)。2015年の85%、2020年の79%から下がり続け、初めてすべての年層で減少した
- 年代差が大きい。16〜19歳は27%、20代は33%。一方、70歳以上は92%で、視聴時間は5時間47分と前回より増えた
- 総務省の調査では、平日の平均利用時間はインターネット183.9分、テレビ156.1分。20代はテレビ46分に対してネット267分と、約6倍の開きがある
- 理由は五つ。スマホが空き時間を先に埋める/「決まった時間に見る」必要が消えた/テレビが「ながら」の背景になった/情報と娯楽の入口が変わった/暮らしの形そのものが変わった
- ただし、テレビ画面は使われている。配信サービスをテレビで見る人は増え、TVerの月間利用者は4,470万に達した。離れたのは「放送」であって「画面」ではない
「テレビ離れ」とは、何から離れることなのか
議論がかみ合わないのは、「テレビ」という言葉が三つの意味を兼ねているからです。①テレビ受像機という機械、②放送局が送る番組(放送)、③放送された時間にそのまま見る視聴の仕方(リアルタイム視聴)。この記事で扱う調査は、どちらも主に③を測っています。
総務省の調査は「テレビ(リアルタイム)視聴」「テレビ(録画)視聴」「インターネット利用」を分けて記録しています。配信サービスで番組を見た時間は、テレビ画面で見ていても「インターネット利用」の側に入ります。NHKの国民生活時間調査も、「テレビ」はリアルタイムの放送に限り、YouTubeやTVerなどは「インターネット動画」として別に数えています。
もう一つ、数字の読み方として「行為者率」と「平均時間」の違いを押さえておくと、この先が読みやすくなります。行為者率は、その日にその行動を一度でもした人の割合です。平均時間は、しなかった人も含めた全員の平均です。「見る人が減った」のか「見る人の時間が減った」のかは、この二つを並べると見えてきます。
調査の性格も違います。総務省の調査は全国の13〜79歳1,800人を対象に、2025年12月1日から7日の期間に、対象者ごとに平日2日と休日1日を日記式で15分刻みに記録してもらったものです。NHKの調査は1960年から5年ごとに続いている調査で、2025年10月に全国10歳以上の7,200人へ郵送し、3,795人(52.7%)から有効な回答を得ています。どちらも「自己申告の日記」なので細かな誤差はありますが、長く同じ方法で続いているため、変化の方向を見るには信頼できる資料です。
年代別に見る:いま、誰がどれだけ見ているのか
まずNHKの調査から、平日にテレビ放送をリアルタイムで見た人の割合(行為者率)を年層別に並べます。
| 年層 | 2020年 | 2025年 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 国民全体(10歳以上) | 79% | 71% | −8 |
| 10〜15歳 | 56% | 42% | −14 |
| 16〜19歳 | 47% | 27% | −20 |
| 20代 | 51% | 33% | −18 |
| 30代 | 63% | 43% | −20 |
| 40代 | 68% | 55% | −13 |
| 50代 | 83% | 73% | −10 |
| 60代 | 94% | 84% | −10 |
| 70歳以上 | 95% | 92% | −3 |
出典:NHK放送文化研究所「2025年 国民生活時間調査」結果概要(2026年6月17日公開)。テレビ=リアルタイムの放送。平日。
見どころは三つあります。第一に、30代以下はどの年層も半数を切り、16〜19歳は3割を切ったこと。平日に一度でもテレビ放送を見た人が、十代後半では四人に一人しかいません。第二に、前回まで減っていなかった60代以上でも減ったこと。NHKはこれを「初めてすべての年層で減少した」とまとめています。第三に、それでも70歳以上は92%で、ほとんど変わっていないことです。
次に、総務省の調査から「平均利用時間」を見ます。こちらは13〜79歳が対象で、見なかった人も含めた一日あたりの平均です。
| 年代(平日) | テレビ(リアルタイム) | インターネット |
|---|---|---|
| 全年代(13〜79歳) | 156.1分 | 183.9分 |
| 10代 | 43.4分 | 228.3分 |
| 20代 | 46.3分 | 266.9分 |
| 30代 | 78.0分 | 225.5分 |
| 40代 | 112.3分 | 229.2分 |
| 50代 | 152.7分 | 158.0分 |
| 60代 | 249.3分 | 140.2分 |
| 70代 | 313.5分 | 93.8分 |
出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」概要(2026年6月公表)。調査は2025年12月。
20代は、テレビが一日46分に対してインターネットが267分。およそ6倍です。70代はその逆で、テレビ314分に対してネット94分。50代が、テレビとネットがほぼ同じ時間になる分水嶺にあたり、40代ではすでにネットがテレビの二倍です。休日はどの年代もテレビが長くなりますが(全年代189.2分)、順序は変わりません。
この二つの表を重ねると、テレビ離れの正体が見えます。テレビを「見なくなった」のは若い層で、「長く見ている」のは高い年齢層。日本の年齢構成では高い年齢層の人数が多いため、国民全体の平均を取ると、ネット利用を一括りに数える総務省の調査ではすでにネットが上回っていますが、動画・SNSなどに分けて数えるNHKの調査ではテレビがまだ最も長いメディアのままです。NHKの調査でも、国民全体の平日のテレビ視聴は一日3時間14分で、前回の3時間1分より増えています。70歳以上の視聴時間が5時間12分から5時間47分へ伸びたためです。
十年の推移:いつ、何が逆転したのか
総務省の調査には、13〜69歳を対象にした2016年からの継続データがあります。平日のテレビ(リアルタイム)の平均視聴時間は、2016年の168.0分から2025年の125.0分へ、十年で43分(約26%)減りました。同じ期間にインターネット利用は99.8分から201.8分へ、ほぼ二倍になっています。
逆転が起きたのは2020年です。2019年まではテレビ161.2分・ネット126.2分とテレビが上でしたが、2020年にネット168.4分がテレビ163.2分を初めて上回りました。コロナ禍の在宅時間で両方が伸びた年ですが、伸び幅が違ったのです。その後テレビは2021年に146.0分へ大きく落ち、2022年135.5分、2024年123.8分と下げ、2025年は125.0分でほぼ横ばいです。
行為者率も同じ形です。平日にテレビをリアルタイムで見た人は、2016年の82.6%から2025年の67.2%へ。休日は85.7%から65.3%へ下がりました。十人のうち八人以上が見ていたものが、十人のうち七人弱になった、ということです。同じ十年で新聞を読んだ人は28.5%から15.8%へ、インターネットを使った人は73.2%から91.7%へ動いています。
ここで一つ注意があります。総務省は2024年度から70代を調査対象に加えました。70代を含む「全年代」の数字は、含まない数字より当然テレビ寄りになります。この記事では、時系列を見るときは13〜69歳の継続データを、いまの年代別の姿を見るときは70代を含む最新データを使っています。
新聞からテレビ、SNS、生成AIまで、日本のメディアの影響力がどう移ってきたかは:メディアの影響力とは|新聞からSNS・生成AIまで、歴史と社会への影響を解説
なぜ進んだのか:五つの理由
テレビ離れの理由は、一つに絞れません。調査の数字から読み取れるものを、五つに分けて見ていきます。
① スマホが「空いた時間」を先に埋めるようになった
一日は24時間しかありません。睡眠と仕事と家事を引いた残りの時間を、どのメディアが取るか。この取り合いで、スマートフォンが勝ちました。総務省の調査では、スマートフォンの利用率は全年代で95.9%、70代でも83.8%です。モバイル機器でインターネットを使った人は10代から40代で90%前後にのぼります。
かつてテレビは、帰宅して最初につける「場の音」であり、何となく時間を埋める道具でした。その役割を、手元の画面が引き受けたのです。テレビは選ばれなくなったのではなく、「何となく」の時間に最初に手が伸びる相手ではなくなった、と言ったほうが正確です。20代のネット利用267分のうち、総務省の集計で最も長いのは「動画投稿・共有サービスを見る」時間でした。かつてテレビが担っていた「ぼんやり眺める映像」は、別の画面で続いています。
② 「決まった時間に見る」必要がなくなった
放送は、決まった時間に、決まった順番で流れます。この「編成」が、放送局の力の源でした。見逃し配信と動画サービスが、その前提を外しました。総務省の調査では、見たいときに見られる「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率は全年代で84.7%、10代から50代では90%を超えています。利用されているサービスは、YouTube、Amazonプライム・ビデオ、TVer、Netflixの順でした。
注目すべきは、テレビ番組そのものをインターネットで見ている人が35.8%いることです。30代から50代では40%を超えます。理由として最も多いのは「見逃した放送番組や過去の番組を見たい」(79.2%)。つまり番組の需要が消えたのではなく、放送時間に合わせる、という行動だけが消えつつあるのです。民放の見逃し配信サービスTVerは、2026年1月の月間利用者数が過去最高の4,470万(月間ユニークブラウザ数)に達し、アプリの累計ダウンロードは9,000万を超えました。
NHKの調査も同じ方向を示します。平日にインターネット動画を見た人の割合は、国民全体で2020年の20%から2025年の29%へ増えました。20代は43%から58%へ、40代は26%から40%へ、60代でも10%から26%へ。「60代では四人に一人が動画を見ている」とNHKは書いています。
③ テレビが「ながら」の背景になった
テレビをつけていても、目はスマホにある。この状態を総務省は「並行利用」として時間帯別に測っています。夜のゴールデン・プライム帯(19〜23時)で、テレビを見ている時間のうち並行利用が占める割合は、平日は10代の21時台で48.7%、休日は20代の22時台で66.6%に達します。若い層がテレビをつけている時間の半分から三分の二は、同時にネットも使っている時間です。
これは視聴時間の統計には「テレビを見た」と記録されますが、画面の主役が入れ替わった時間でもあります。番組はBGMになり、広告は視界の端に追いやられます。行為者率や時間の減少として表に出る前に、テレビの「質的な離れ」はこの形で先に起きていたと見ることができます。
④ 情報の入口と、娯楽の入口が変わった
総務省は「どのメディアを最も使うか」を目的別に聞いています。「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために最も使うのは、全年代で見るとインターネットが55.4%。10代から50代はインターネット、60代と70代はテレビが最多でした。「趣味・娯楽に関する情報を得る」ためのメディアも、インターネットが70.8%で、70代を除くすべての年代でインターネットが最多です。
速報と娯楽という、かつてテレビが得意としていた二つの入口が、ネットに移りました。ただし、ここには逆のデータもあります。「世の中のできごとについて信頼できる情報を得る」ために最も使うメディアは、全年代ではテレビが50.3%で最多でした。10代と、50代から70代ではテレビ、それ以外の年代ではインターネットです。速さはネット、確かさはテレビ――この使い分けが、いまの標準になりつつあります。
⑤ 暮らしの形そのものが変わった
NHKは2025年調査の変化の背景として、コロナ禍、働き方改革、デジタル化(Wi-Fi環境など)、コネクテッドテレビの普及、動画配信サービスの普及を挙げています。在宅勤務が広がって家にいる時間の中身が変わり、Wi-Fiとつながるテレビが普及し、放送以外のものがテレビ画面に流れるようになった。テレビの前に家族がそろう「夜8時」の光景は、家族の人数と生活時間がばらけるにつれて、多くの家庭で成り立たなくなりました。
総務省の調査でも、家庭内の時間の使い方がうかがえます。20時台はいまもテレビの行為者率が一日で最も高い時間帯ですが、その同じ20時台に並行利用も最も高くなります。同じ部屋にいて、同じ画面がついていても、見ているものは一人ひとり違う。テレビ離れは、メディアの話であると同時に、家の中の時間がほどけていく話でもあります。
流行が細分化し、「みんなが見ている番組」が成り立ちにくくなった背景は:トレンドの変化はなぜ起きた?流行が細分化した5つの理由|1960年代から現在まで
「若者のテレビ離れ」は、半分正しく、半分違う
若い層が放送から離れたのは、数字のとおりです。けれど「若者はテレビ画面を見ていない」とまで言うと、違います。
総務省の調査には「テレビ受像機でインターネットを使った人」の割合があります。平日で全年代14.3%、最も高いのは30代の18.7%で、40代15.9%、50代15.1%と続きます。10代は8.2%、70代は一桁にとどまります。テレビ画面でネットを使うという使い方は、若者より30〜50代に多いのです。TVerは2026年9月、同年8月のコネクテッドテレビ(ネットにつながったテレビ)での月間再生数が過去最高の2.3億回になったと発表しました。
興味深いのは、NHKの調査で16〜19歳のインターネット動画の行為者率が、2020年の47%から2025年の48%へとほとんど変わっていないことです。この年層は、五年前の時点で動画が日常になっていた。変わったのは動画の側ではなく、テレビ放送だけが47%から27%へ下がったということです。
ここから言えるのは、テレビ離れとは「放送離れ」であり、より正確には「編成離れ」だということです。番組は見られています。画面も使われています。放送局が決めた順番と時間に従って見る、という契約だけが解けた。離れたものを正しく名指すと、対策の方向も変わります。
配信とSNSを前提にドラマの作り方がどう変わったかは:日本ドラマの変遷|1960〜2026年、テーマと内容の変化を時代別に解説
それでもテレビが残る場所
数字が示す「残る場所」は四つあります。
高い年齢層の生活時間
70歳以上の平日のテレビ視聴は、NHKの調査で5時間12分から5時間47分へ増えました。60代でも、平日に一度でもテレビを見た人は84%にのぼります。日本の人口構成を考えれば、この層の時間は当分、テレビの最大の支えです。
国民全体で見れば、いまも最長のメディア
国民全体の平均では、テレビは一日3時間14分で、インターネット動画(42分)やネット・SNS(53分)を大きく上回ります。「テレビはもう誰も見ていない」という言い方は、若い層の実感としては正しくても、社会全体の記述としては誤りです。
「確かさ」を担う場所
前の章で見たとおり、信頼できる情報を得るために最も使うメディアはテレビ(50.3%)でした。総務省の「情報源としての重要度」でも、テレビは全年代で80.6%と最も高く、メディアとしての信頼度は10代・20代・60代でテレビが最高、ほかの年代では新聞が最高です。見る時間は減っても、「ここ一番で確かめる場所」としての地位は残っています。この信頼を、速さで勝るネットが代替できていない点は、テレビにとって最後の資産と言えます。
家の中の「共通の時間帯」
20時台は、いまも一日のうちでテレビの行為者率が最も高い時間帯です。ながら視聴が増えたとはいえ、家族が同じ部屋で同じ画面をつけている時間は、完全には消えていません。災害や大きな出来事のときに人がテレビをつけるのも、この「同じものを同時に見る」機能が放送にしかないからです。
放送局の側で起きていること
テレビ局は、放送局から「番組を作って届ける会社」へ軸足を移しています。民放の見逃し配信TVerは、2023年8月に月間利用者3,000万を超え、2024年7月に4,000万、2026年1月に4,470万と伸び続けています。NHKも2025年からインターネットでの配信を「NHK ONE」として本来の業務に位置づけ、NHKの調査でも「インターネット動画」の中にNHK ONEが含まれるようになりました。
これは、調査の数字の読み方にも影響します。同じ番組を同じテレビ画面で見ても、放送波で見れば「テレビ」、配信で見れば「インターネット」に分類される。統計上の「テレビ離れ」の一部は、番組離れではなく「経路の乗り換え」です。見逃し配信で見ている35.8%の人は、放送局の番組の視聴者であることに変わりありません。
とはいえ、放送局にとって経路の乗り換えは楽観できる話ではありません。放送の広告は時間帯と視聴率で値段が決まり、配信の広告はまったく別の仕組みで売られます。「どれだけ見られたか」の測り方が変われば、作り方も変わります。ドラマがSNSでの考察や海外展開を前提に設計されるようになったのは、その現れの一つです。
40代の暮らしから見ると
ここまで社会全体の話をしてきましたが、この記事を読んでいる40代にとっては、自分の家の話でもあるはずです。40代の平日のテレビ視聴は112分、ネットは229分。行為者率は55%で、平日のある一日で見ると45%の人はテレビをつけていない年代です。親の世代は毎日見ていて、子どもはほとんど見ない。その真ん中にいます。
三つのことを意識しておくと、この変化と付き合いやすくなります。
一つ目は、情報の偏りに自覚的でいることです。速さはネット、確かさはテレビ、と多くの人が答えているのに、実際の時間配分はネットに大きく寄っています。見る時間の少ないほうが「確かめる場所」になっているなら、大きな出来事のときだけでも、意識してそこに戻る習慣を持っておく価値があります。
二つ目は、「ながら」の疲れを見過ごさないことです。テレビをつけたままスマホを見る時間は、記録上は休んでいる時間ですが、注意は二つの画面に分かれています。休んだはずなのに疲れている夜があるなら、原因の一つはここにあります。テレビを消すか、スマホを置くか、どちらか一つに決めるだけで、同じ30分の質が変わります。
三つ目は、空いた時間の行き先を自分で決めることです。テレビの時間が減った分は、放っておけば手元の画面が自動的に埋めます。それを、本でも、音声でも、何もしない時間でもいい、自分で選んだものに振り向ける。テレビ離れの時代に問われているのは、放送局の戦略よりも、こちら側の時間の使い方かもしれません。
🎧 Audible(オーディブル)
テレビをつけない夜の時間を、画面以外のものに渡したい人に向く入口のひとつです。音声の本なら、目を使わずに、家事をしながら、横になったまま、一冊を頭に入れられます。ながら視聴で分かれていた注意を、一つの声に戻す使い方です。合わなければ期間内にやめればいい、という軽さで試せます。
プレミアムプランは新規なら30日間の無料体験のあと月額1,500円で自動更新、いつでも退会できます。数十万以上の対象作品が聴き放題です(月額880円のスタンダードプランもあります)。無料体験を使う場合は、登録しただけでは試したことにならないので、期間内に一本は再生してみてください。(2026年10月27日に公式サイトで確認)
テレビの時間が減っても本に戻れないのはなぜか、目と注意の変化から:【40代で読書の時間がない】足りないのは時間ではない|目と注意の変化と、耳で読む方法
よくある質問
テレビ離れはいつから始まったのですか
総務省の継続データでは、13〜69歳の平日のテレビ視聴は2016年の168分から、2020年を除いて下がり続け、2020年に初めてインターネットの利用時間に抜かれました。NHKの調査では国民全体の行為者率が2015年85%、2020年79%、2025年71%と、五年ごとに下がっています。言葉として広まったのは2010年代ですが、数字がはっきり動いたのは2020年前後です。
若者はテレビをまったく見ないのですか
平日にテレビ放送をリアルタイムで見た16〜19歳は27%、20代は33%です(NHK・2025年)。四人に一人から三人に一人は見ているので「まったく」ではありませんが、半数を大きく下回ります。一方、テレビ画面で配信動画を見る使い方は若い層のほうが多く、離れたのは放送であって画面ではありません。
テレビ離れの一番の理由は何ですか
一つに絞るなら、見たいものを見たい時間に見られる環境がそろい、「決まった時間に放送を見る」必要がなくなったことです。それを可能にしたのがスマートフォンと動画サービスで、総務省の調査ではオンデマンド型の動画サービスの利用率が全年代で84.7%、テレビ番組をインターネットで見る人が35.8%にのぼります。
高齢者もテレビを見なくなっていますか
行為者率はわずかに下がりましたが(60代は94%から84%、70歳以上は95%から92%)、70歳以上の視聴時間は5時間12分から5時間47分へ増えています。高い年齢層はいまもテレビの最大の視聴者で、国民全体の平均視聴時間が前回より増えた理由もここにあります。
テレビ局はこの先どうなるのですか
放送から配信へ軸足を移しています。TVerの月間利用者は2026年1月に4,470万、NHKもインターネット配信を本来の業務にしました。番組の需要は残っていて、見逃し配信を使う理由の79.2%は「見逃した番組や過去の番組を見たい」です。ただし、配信では広告の売り方や視聴の測り方が変わるため、番組の作り方も変わっていきます。
「テレビ離れ」と「テレビ画面離れ」は違うのですか
違います。調査で減っているのは、放送をその時間に見る行動です。テレビ受像機でインターネットを使う人は平日で14.3%、30代では18.7%おり、TVerのコネクテッドテレビでの月間再生数は2.3億回(2026年8月)に達しました。画面は使われ、放送局の番組も見られています。離れたのは「編成に従って見る」という習慣です。
まとめ
テレビ離れとは、放送局が決めた時間に番組を見る習慣が、若い層から順にほどけていく現象です。2025年の調査では、16〜19歳の27%、20代の33%しか平日にテレビ放送を見ておらず、初めてすべての年層で減少しました。一方で国民全体の平均ではテレビはいまも最も長いメディアで、70歳以上では視聴時間が増えています。
理由は、スマホが空いた時間を先に埋めること、見たい時に見られる環境が整ったこと、テレビが「ながら」の背景になったこと、情報と娯楽の入口が変わったこと、そして暮らしの形そのものが変わったことの五つです。
ただし、離れたのは画面ではなく放送です。番組は配信で見られ、テレビ画面はネット動画を映し、信頼できる情報源としての地位は残っています。数字が教えているのは「テレビの終わり」ではなく、テレビという言葉が指すものの入れ替わりです。その入れ替わりの中で、空いた時間を何に渡すかを決めるのは、放送局ではなく、見る側のわたしたちです。
――グレイス
参考情報:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」(2026年6月公表・2026年10月6日確認)/NHK放送文化研究所「2025年 国民生活時間調査 結果概要」(2026年6月17日公開・同10月6日確認)/株式会社TVer プレスリリース(2026年3月17日・2026年9月8日、同10月6日確認)
※数値はいずれも各調査の公表資料によります。総務省調査は2024年度から70代を含むため、時系列の比較には13〜69歳の継続データを用いました。
テーマ:#深く考える