ディケンズ『クリスマス・キャロル』の読みどころ|スクルージが変わった場面と名言、2026年の映画の前に
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早わかり
- 『クリスマス・キャロル』は、ディケンズが1843年に書いた全5章の物語です
- けちな老人スクルージが、3人の幽霊に過去と現在と未来を見せられます
- 変化がはっきり見え始めるのは、最後の朝ではなく第2章です
- 寄付を断ったときの冷たい言葉が、第3章で本人に返ってきます
- 若いころの雇い主フェジウィッグと、雇い主になったスクルージを比べて読めます
- 婚約者ベルは、世間を怖がりすぎる彼に別れを告げます
- 名言として出回る言葉には、本文にないものも混ざっています
- 森田草平訳は、青空文庫で無料で読めます
- 40代の場面は筆者の置き換えで、本に書かれた例ではありません
『クリスマス・キャロル』は、けちな老人スクルージが3人の幽霊に会う物語です(全5章・村山訳p.7〜199)。本記事では、スクルージが変わっていく順番を場面ごとに追います。変化がはっきり見え始めるのは、最後の朝ではなく過去の幽霊の章です(第2章・村山訳p.61〜67)。
頁番号は、蔵書の村山英太郎訳(岩波少年文庫、1950年初版・1967年改版)のものです。今の書店で買える岩波少年文庫は別の訳で、頁も訳文も違います。根拠は章と場面を主に示し、村山訳の頁は補いとして添えました。
引用文は、青空文庫で無料で読める森田草平訳から取っています。筆者の体験を書いた記事ではありません。40代の場面は、本の内容をもとにした筆者の置き換えです。
『クリスマス・キャロル』はどんな物語か|5章と主な登場人物
『クリスマス・キャロル』は、ディケンズが1843年に書いた物語です(注・村山訳p.205)。最初の場面は、マーレイの死の確認とクリスマス前夜の事務所です(第1章・村山訳p.7〜18)。原作は5つの節(stave)に分かれ、本記事では第1章〜第5章と呼びます。
| 章 | 見せられるもの | 村山訳 |
|---|---|---|
| 第1章 | 鎖を引きずるマーレイの幽霊が現れ、3人の幽霊が来ると告げる | p.7〜50 |
| 第2章 | 過去の幽霊が、少年時代と若いころのクリスマスを見せる | p.51〜91 |
| 第3章 | 現在の幽霊が、今年のクリスマスの家々を見せる | p.92〜145 |
| 第4章 | 未来の幽霊が、誰にも悲しまれない男の死を見せる | p.146〜183 |
| 第5章 | 目覚めたスクルージが、クリスマスの朝から行いを変える | p.184〜199 |
主な登場人物
| 人物 | どんな人か | 初めて出る章 |
|---|---|---|
| スクルージ | ロンドンの商人 けちで人を寄せつけない老人 | 第1章 (p.7) |
| マーレイ | 7年前のクリスマス前夜に死んだ共同経営者 鎖を引きずる幽霊になって現れる | 第1章 (p.7・p.34) |
| フレッド | スクルージのおいで、亡き妹ファンの子 断られても毎年クリスマスに招く | 第1章 (p.13) |
| ボブ・クラチット | スクルージの事務員 大家族を養っている | 第1章 (p.12) |
| ティム | ボブの末の子 松葉杖をついている | 第3章 (p.109〜110) |
| フェジウィッグ | 若いスクルージが奉公した店の主人 | 第2章 (p.71) |
| ベル | 若いころの婚約者 | 第2章 (p.81) |
| 3人の幽霊 | 過去・現在・未来のクリスマスを順に見せる 未来の幽霊は口をきかず、指さすだけ | 第2〜4章 (p.54・p.95・p.145) |
| 寄付集めの紳士 | 貧しい人への寄付を頼みに来る2人 | 第1章 (p.19) |
表の頁はすべて村山訳のものです。マーレイの名は、村山訳ではマーリ、森田訳ではマアレイと書かれます。
スクルージはどこから変わり始めたのか|場面ごとに追う
スクルージは、最後の朝に急に変わったのではありません。第1章の恐れから始まり、場面ごとに少しずつ変わっていきます(第1〜5章・村山訳p.40〜199)。
| 章 | 場面 | スクルージの変化 | 村山訳 |
|---|---|---|---|
| 第1章 | マーレイの幽霊が叫ぶ | 恐れてひざをつき、幽霊を信じると言う | p.40〜41 |
| 第1章 | 窓の外の鎖の幽霊たち | 口ぐせを言いかけて、途中でやめる | p.50 |
| 第2章 | 生まれ故郷 | 涙が出て、吹き出物だとごまかす | p.61 |
| 第2章 | ひとりぼっちの少年時代の自分 | 他人より先に、昔の自分を哀れんで泣く | p.64〜66 |
| 第2章 | 少年時代を見た直後 | 昨夜追い払った歌の子に、何かやればよかったと悔やむ | p.67 |
| 第2章 | フェジウィッグの会 | 雇い主の力を語り、自分の事務員に一言かけたいと言う | p.79〜80 |
| 第2章 | ベルとの別れと、ベルの家庭 | 失ったものを知って涙ぐむ | p.80〜91 |
| 第3章 | 現在の幽霊に会う | 自分のためになることを学びたい、と自分から言う | p.98〜99 |
| 第3章 | ティムの空いた席 | ティムは助かるのかとたずね、自分の言葉を返されてうなだれる | p.118〜119 |
| 第3章 | フレッドの家のパーティ | 妹がよく歌った曲で心がほどけ、帰りたくないとねだる | p.135〜140 |
| 第3章 | 無知と欠乏の子ども | 頼る先はないのかとたずね、また自分の言葉を返される | p.143〜144 |
| 第4章 | 誰にも悲しまれない男の死 | 死んだ男の身の上が、自分にも起こりうると気づく | p.154〜167 |
| 第4章 | 自分の名を刻んだ墓石 | 以前の自分ではないと誓う | p.180〜182 |
| 第5章 | 目覚めた朝 | 贈り物や寄付、訪問や給料の形で行いを変える | p.184〜199 |
第1章|最初の変化は、反省ではなく恐れだった
最初の変化は、心からの反省ではなく恐れでした(第1章・村山訳p.40〜41)。マーレイの幽霊が叫ぶと、スクルージはひざをついて幽霊を信じると言います(第1章・村山訳p.40〜41)。
おいのあいさつをはねつけた「何を、馬鹿々々しい!」がスクルージの口ぐせです(第1章、青空文庫・森田草平訳)。幽霊が去ったあと、スクルージは口ぐせを言いかけて途中でやめました(第1章・村山訳p.50)。口ぐせが止まったのは、言葉の上での最初の小さな変化です(筆者の整理)。
第2章|過去の幽霊の章で、涙と後悔が始まる
変化がはっきり見え始めるのは、過去の幽霊が来る第2章です(第2章・村山訳p.51〜91)。生まれ故郷に着くと涙が出て、本人は吹き出物だとごまかします(第2章・村山訳p.61)。学校にひとり残された少年時代の自分を見て、スクルージは泣きました(第2章・村山訳p.64〜66)。
直後に、昨夜追い払った歌の子に何かやればよかったと悔やみます(第2章・村山訳p.67)。過去の自分を見て、今の自分の行いを悔いた最初の言葉です(筆者の整理)。他人への思いやりより先に、昔の自分への涙が来る順番も見落とせません(筆者の整理)。
第3章・第4章|自分から学び、自分の死を見る
第3章のスクルージは、自分のためになることを学びたいと自分から申し出ます(第3章・村山訳p.98〜99)。第4章では自分の死を見て、以前の自分ではないと誓いました(第4章・村山訳p.180〜182)。
第5章|朝の行いは、身近で具体的
目覚めたスクルージは、未来はまだ変えられると喜びます(第5章・村山訳p.184〜186)。続く行いは、どれも身近で具体的なことでした(第5章・村山訳p.187〜197)。
- 名を伏せて、ボブの家に大きな七面鳥を届けさせる(第5章・村山訳p.187〜190)
- 前日の紳士に、たまっていた分も含めた寄付を約束する(第5章・村山訳p.191〜193)
- 戸口で迷ったあと、勇気を出しておいの家を訪ねる(第5章・村山訳p.193〜195)
- 翌朝、ボブの給料を上げて家族を助けると告げる(第5章・村山訳p.195〜197)
自分の言葉が返ってくる|寄付を断った言葉と、ティムの空いた席
スクルージを動かした仕掛けの一つは、第1章で本人が口にした言葉です(筆者の整理)。第3章で幽霊は、同じ言葉を2回スクルージに言い返します(第3章・村山訳p.119とp.144)。他人の説教ではなく、自分の言葉でうなだれる形になっています(筆者の整理)。
第1章|寄付を断った2つの言葉
クリスマス前夜、紳士2人が貧しい人のための寄付を頼みに来ます(第1章・村山訳p.19〜21)。スクルージは、監獄や貧しい人を収める施設はないのかと聞き返しました(第1章・村山訳p.20)。死にたい者は死ねばよい、とまで言い放ちます(第1章・村山訳p.22)。
言葉の結びは「過剰の人口を減らす方が可う御座んすよ」です(第1章、青空文庫・森田草平訳)。紳士たちは寄付をもらえないまま帰っていきます(第1章・村山訳p.19〜23)。
1回目|ティムの空いた席
第3章で、スクルージは貧しくても仲のよいクラチット家の食卓を見ます(第3章・村山訳p.107〜123)。ティムは助かるのか、とスクルージは幽霊にたずねました(第3章・村山訳p.118〜119)。幽霊は、空いた席と持ち主のいない松葉杖が見えると答えます(第3章・村山訳p.118〜119)。
未来が変わらなければ、ティムは死ぬという答えでした(第3章・村山訳p.119)。幽霊は続けて、第1章の余った人口の言葉をスクルージに返します(第3章・村山訳p.119)。幽霊は「どんな人間が生くべきで、どんな人間が死ぬべきか」をお前が決めるのかと問います(第3章、青空文庫・森田草平訳)。スクルージは自分の言葉を聞かされてうなだれ、後悔と悲しみに沈みました(第3章・村山訳p.119)。
2回目|無知と欠乏の子ども
第3章の終わりに、幽霊の衣の下からやせた男の子と女の子が現れます(第3章・村山訳p.143〜144)。幽霊は男の子を無知と呼び、女の子を欠乏と呼びました(第3章・村山訳p.144。呼び名は森田訳による)。
二人に頼る先はないのか、とスクルージがたずねます(第3章・村山訳p.144)。幽霊は、監獄や貧しい人の施設はないのか、と彼自身の言葉で答えました(第3章・村山訳p.144)。第1章の2つの言葉は、2回とも本人に戻ってきたことになります(筆者の整理)。
第5章|同じ紳士への寄付の約束に変わる
第5章の朝、スクルージは前日の紳士に出会います(第5章・村山訳p.191)。耳打ちで、たまっていた分も含めた寄付を約束しました(第5章・村山訳p.191〜193)。言葉を返された後悔が、同じ相手への行いに変わった場面です(筆者の整理)。
フェジウィッグと雇い主スクルージ|40代の職場で読む
雇い主の言葉や表情が人を幸せにも不幸にもする、とスクルージ自身が語る場面があります(第2章・村山訳p.79〜80)。語った相手は、若いころの雇い主を軽く見た過去の幽霊でした(第2章・村山訳p.79)。
第2章|数ポンドしか使っていない、と言われた主人
フェジウィッグは、若いスクルージが奉公した店の主人です(第2章・村山訳p.71)。クリスマス前夜には、店でダンスの会を開きます(第2章・村山訳p.71〜79)。幽霊は、数ポンド使っただけで感謝されるほどのことか、とからかいました(第2章・村山訳p.79)。
スクルージは昔の主人をかばい、力は言葉や表情のような小さなものにあると言い返します(第2章・村山訳p.79〜80)。主人の与える幸福は「一身代を費やしたほど大したもの」だ、とスクルージは言い切りました(第2章、青空文庫・森田草平訳)。直後に、自分の事務員に一言かけたいと口にします(第2章・村山訳p.80)。
第1章と第5章|雇い主としてのスクルージ
| 項目 | フェジウィッグ(第2章) | 変わる前のスクルージ(第1章) | 変わった後のスクルージ(第5章) |
|---|---|---|---|
| クリスマス | 前夜に店でダンスの会を開く(p.71〜79) | 翌日の休みを、しぶしぶ与える(p.25〜27) | 名を伏せて、ボブの家に七面鳥を届けさせる(p.187〜190) |
| お金 | 数ポンドの出費で、奉公人を幸せにする(p.79〜80) | 事務員の給料は週15シリング(p.19) 事務員の火は石炭ひとかけ(p.12) | 給料を上げ、家族の暮らしを助けると告げる 石炭箱をもう一つ買ってこいと言う(p.195〜197) |
クリスマスの翌朝、スクルージは遅れてきたボブを叱るふりをします(第5章・村山訳p.195〜197)。叱るふりのあとで、給料を上げると告げました(第5章・村山訳p.197)。第2章で口にした一言かけたい気持ちが、行いになった形です(筆者の整理)。
40代の職場に置き換えると(筆者の置き換え)
部下や後輩を持つ40代にとって、フェジウィッグは予算の大小より一言の重みを示す例です(筆者の置き換え)。会議のあとの一言や忙しい日の表情は、数字に残りません。けれども、一言や表情は相手の一日を軽くも重くもします(筆者の置き換え)。
自分はフェジウィッグと第1章のスクルージの、どちらに近い上司なのか。職場の場面に重ねて、問いながら読む方法をおすすめします(筆者の提案)。
ベルとの別れが示すもの|お金より、世間を怖がる心
ベルの別れの言葉が責めているのは、お金よりも世間を怖がる心です(筆者の整理)。場面は、過去の幽霊が見せる壮年のスクルージです(第2章・村山訳p.80〜85)。
ベルに取って代わった、別のもの
喪服を着た若い娘ベルは、別のものが自分に取って代わったと告げます(第2章・村山訳p.81)。何が代わったのかと聞かれて、ベルは「金色のもの」と答えました(第2章、青空文庫・森田草平訳)。スクルージは、世間は貧乏にいちばん辛く当たるのだと言い返します(第2章・村山訳p.81〜82)。
世間を怖がりすぎている
ベルの答えは「貴方はあまり世間と云うものを怖がり過ぎますよ」でした(第2章、青空文庫・森田草平訳)。ほかの望みは、世間に非難されない身になる望みにのみこまれた、とベルは続けます(第2章・村山訳p.82)。やがて損得ばかりに気をとられるようになった、ともベルは言います(第2章・村山訳p.82)。ベルは別れを告げ、スクルージの前を去りました(第2章・村山訳p.80〜85)。お金を求めた理由が、貧しさへの恐れと世間の目だったことが読み取れます(筆者の整理)。
何年かあとの、ベルの家庭
幽霊は、何年かあとのベルの幸せな家庭も見せます(第2章・村山訳p.86〜91)。ベルの娘を見て、スクルージは自分の娘だったらと涙ぐみました(第2章・村山訳p.86〜90)。ベルの夫は、今日見かけたスクルージがひとりきりだったと話します(第2章・村山訳p.90)。耐えられなくなったスクルージは、幽霊の光を帽子で押さえつけました(第2章・村山訳p.91)。
40代に置き換えると、何のために働いてきたのかを問う場面になります(筆者の置き換え)。稼ぐ目的が、いつのまにか世間に笑われない身になることへ替わっていないか。ベルの言葉は、働く目的を問い直す手がかりとして読めます(筆者の置き換え)。
心に残る言葉|章と場面つきで読む
名言は、章と場面がわかると意味がはっきりします。原文を引いたものは青空文庫の森田草平訳で、ほかは意味を示しました。
章と場面つきの言葉
| 言葉 | 章と場面 | 村山訳 |
|---|---|---|
| 「私が存命中に鍛えた鎖を身に着けているのさ」 (第1章、青空文庫・森田草平訳) | 第1章 マーレイの幽霊が、鎖は生きている間に自分で作ったと明かす | p.42 |
| 商売は大海のひとしずくで、人と世の中の幸せこそ本当の仕事だった(意味) | 第1章 マーレイの幽霊が、生前の商売を振り返る | p.45 |
| 笑いと上機嫌ほど、人にうつるものはない(意味) | 第3章 フレッドの家の場面での語り手の言葉 | p.129 |
| 今の生き方を変えずに進めば行き着く先は決まっているが、道を外れれば行き着く先も変わる(意味) | 第4章 自分の墓の前で、スクルージが未来の幽霊に訴える | p.180〜181 |
| 「私はもう以前の私では御座いません」 (第4章、青空文庫・森田草平訳) | 第4章 自分の名を刻んだ墓石の前で誓う | p.181 |
| 善いことは、始めは必ず誰かに笑われる(意味) | 第5章 変わったスクルージを笑う人について、語り手が述べる | p.198 |
| ティムは死なず、スクルージはティムの第二の父になった(意味) | 第5章 物語の終わり近く | p.198 |
寄付やフェジウィッグ、ベルの場面で引いた言葉も、本文で場面を確かめられます。物語は、みんなにいいことがありますようにという、ティムと同じ願いで結ばれます(第5章・村山訳p.199)。
本文にない「名言」に注意
『クリスマス・キャロル』の名言を調べると、本文にない言葉も混ざって出てきます。英語の原文(プロジェクト・グーテンベルク)の全文で確かめた結果を、表にまとめました。
| 出回っている言葉 | 英語の原文で確かめた結果 |
|---|---|
| 生きる価値のない人はいない 人は誰かの重荷を軽くできるから(趣旨) | 『クリスマス・キャロル』にはない ディケンズの別の作品『我らが共通の友』(1865年)の登場人物の台詞 |
| 「愛する心こそ真の知恵」 (作者の名言として並ぶもの) | 『クリスマス・キャロル』の本文にはない 近い一文は、別の作品『デイヴィッド・コパフィールド』にある 『大いなる遺産』とする名言サイトもあるが、本文に見当たらない |
| 今の生き方を変えずに進めば行き着く先は決まっているが、道を外れれば行き着く先も変わる(趣旨) | 本物 第4章、自分の墓の前の場面(村山訳p.180〜181) |
日本語の名言サイトが、別の訳語で書いている可能性は残ります。名言を使う前に、章と場面を本文で確かめる方法をおすすめします(筆者の提案)。
どの訳で読むか|青空文庫の森田草平訳ほか
無料で全文を読めるのは、青空文庫の森田草平訳です(青空文庫の図書カード)。作品名は「クリスマス・カロル」で、底本は1929年の岩波文庫です。
| 訳 | どこで読めるか | 本記事での扱い |
|---|---|---|
| 森田草平訳 (1881〜1949) | 青空文庫で無料 底本は岩波文庫(1929年初版) | 引用文はすべて森田訳から |
| 村山英太郎訳 | 岩波少年文庫の旧版 1950年初版、1967年改版 | 頁番号はすべて村山訳のもの |
| 脇明子訳 | 岩波少年文庫の今の版(2001年) | 中身は確かめていない |
森田訳は、仕事(business)を「事務」と訳すなど言葉づかいが硬めです。図書カードには、今では不適切と受け取られうる表現がある、との注意書きもあります。村山訳は子ども向けの訳で、言葉がやわらかく書かれています。
筆者の提案は、青空文庫で通して読み、読みにくければ新しい訳を書店で手に取ることです。ほかにも訳はありますが、本記事では確かめていません。
2026年の映画について|公開日と監督・主演
映画『クリスマス・キャロル/3人のゴーストたち』は、2026年11月13日に公開されます(シネマカフェ)。公開前のため、本記事では映画の中身や原作との違いを書きません。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 邦題 | 『クリスマス・キャロル/3人のゴーストたち』 | 公式サイト シネマカフェ |
| 原題 | Ebenezer: A Christmas Carol | 映画.com シネマカフェ |
| 日本公開 | 2026年11月13日(金) 全世界同時公開 | シネマカフェ オリコン |
| 監督 | タイ・ウェスト | シネマカフェ オリコン |
| 主演 | ジョニー・デップ(スクルージ役) | 映画.com シネマカフェ |
| 配給 | 東和ピクチャーズ・東宝 | 公式サイト 映画.com |
表の情報は、2026年10月20日時点で公式サイトと各報道に出ているものです。公開日などが変わる場合もあるので、出かける前に公式サイトで確かめてください。
40代で読む3つの問い|筆者の置き換え
以下の3つは、本の場面を40代の暮らしに置き換えた筆者の問いです。本に書かれた例ではありません。
問い1|自分の言葉を返されても、平気でいられるか
スクルージは、第1章の自分の言葉を第3章で返されて、うなだれました(第3章・村山訳p.119)。職場や家庭で軽く口にした言葉を一つ思い出し、自分に向けられた場面を想像する読み方です(筆者の置き換え)。
問い2|下の世代にとって、自分の一言はどう働いているか
フェジウィッグの力は、数ポンドのお金より言葉や表情にありました(第2章・村山訳p.79〜80)。部下や後輩、子どもにとって、自分の表情が一日を楽にしているかを問えます(筆者の置き換え)。
問い3|いなくなったあと、誰に何と言われたいか
第4章の男の死には、親切にしてもらったと言ってくれる人が一人もいませんでした(第4章・村山訳p.166)。職場を去る日や家族と離れる日に、誰に何を言われたいか。肩書きより、身近な一言の積み重ねが残るという読み方です(筆者の置き換え)。
よくある質問
『クリスマス・キャロル』は何を伝えたい物語ですか
訳者の村山英太郎は、あとがきで2つを挙げています。1つは、広い愛の心で楽しく助け合って生きることです。もう1つは、正しいと分かったことは笑われても行うことです(訳者あとがき・村山訳p.207)。
スクルージはなぜ一晩で変われたのですか
急に変わったのではなく、第1章の恐れから段階を踏んで変わっています(第1〜5章・村山訳p.40〜199)。変化がはっきり見え始めるのは、過去の幽霊が来る第2章です(第2章・村山訳p.61〜67)。
ティムは最後にどうなりますか
ティムは死にません(第5章・村山訳p.198)。変わったスクルージは、ティムにとって第二の父になりました(第5章・村山訳p.198)。
「愛する心こそ真の知恵」は『クリスマス・キャロル』の言葉ですか
英語の原文で探したかぎり、本文にはありません。近い一文は、ディケンズの別の作品『デイヴィッド・コパフィールド』にあります。
『クリスマス・キャロル』は無料で読めますか
青空文庫で、森田草平訳を無料で読めます(青空文庫の図書カード)。作品名は「クリスマス・カロル」で、底本は1929年の岩波文庫です。
2026年の映画はいつ公開ですか
2026年11月13日(金)に、全世界同時公開されます(シネマカフェ・オリコン)。監督はタイ・ウェストで、ジョニー・デップがスクルージを演じます(シネマカフェ・映画.com)。
まとめ|スクルージは段階を踏んで変わった
『クリスマス・キャロル』のスクルージは、最後の朝に急に変わったのではありません。第1章の恐れに始まり、第2章で涙と後悔が出てきます(第1〜2章・村山訳p.40〜91)。第3章で自分の言葉にうなだれ、第4章で誓い、第5章で行いを変えました(第3〜5章・村山訳p.92〜199)。
変化を動かしたのは、自分の言葉の返却と、自分の人生を外から見せられる場面でした(筆者の整理)。変わったあとの行いは、贈り物や寄付のような身近なことです(第5章・村山訳p.187〜197)。
参考・出典
- ディケンズ作、村山英太郎訳、佐藤敬さしえ『クリスマス・キャロル』
岩波少年文庫(岩波書店、1950年第1刷、1967年第17刷改版)
蔵書は1998年第64刷 - ディッケンス作、森田草平訳「クリスマス・カロル」(青空文庫)
図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/000914/card4328.html
底本:岩波文庫『クリスマス・カロル』(1929年初版、1936年第10刷) - Charles Dickens, A Christmas Carol(Project Gutenberg)
gutenberg.org/ebooks/46 - 名言の確認に使った英語原文(Project Gutenberg)
Our Mutual Friend:gutenberg.org/ebooks/883
David Copperfield:gutenberg.org/ebooks/766
Great Expectations:gutenberg.org/ebooks/1400 - 映画『クリスマス・キャロル/3人のゴーストたち』公式サイト
https://christmas-carol.jp/ - シネマカフェ(2026年7月24日)
www.cinemacafe.net/article/2026/07/24/111179.html - オリコンニュース(2026年7月24日)
www.oricon.co.jp/news/2469779/full/ - 映画.com 作品ページ
https://eiga.com/movie/106556/
本の記述と頁番号は、蔵書の村山英太郎訳で確認しました。青空文庫と英語原文、映画の公式サイトと報道は、2026年10月20日に確認しています。
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